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「…俺、ハイジに最低な事させたんだ」

まるで俺に懺悔をするかのごとく深刻な顔でゼロが口にする話の内容は強制労働の際にC班で起こった全貌だった。

ノアの箱船の囚人に絡まれガレージに連れて行かれた事。

ハイジがゼロを助ける為にノアの言いなりになった事。

ハイジがノアに気に入られた経緯等をゼロから聞いて、繋がらなかった糸がすべて繋がった。

俺はハイジの行動力に驚かされたが、

どうすればゼロを傷つけず尚且つ俺に怒られないように問題を解決出来るかと言う事を懸命に考え、

奮闘したと思われるハイジの成長ぶりを少し嬉しく思い少し寂しく思った。


「ハイジは嫌な事は嫌だと言うタイプだ。自らの意思でハイジがノアの言いなりになったんだったら俺は何も言わねぇよ」

今にも泣き出しそうな思いつめた顔で何度も謝罪を繰り返すゼロにそう言葉をかけてもゼロは顔を上げようとはしない。

そんなゼロの様子に頭を悩ませながら俺は床を見つめ拳を握りしめるゼロの頭を数回撫でてやる。

「ハイジだって相手がお前じゃなかったらそんな事まではしないと思うぜ。余程嬉しかったんじゃないのか、お前が体を張ってハイジを助けようとした事が」

正直な所、俺には絶対に真似出来ない事だからな。

他人の、ましてや男のモノを躊躇なく口に入れるなんて芸当は。


「…助けようとしたって、結局俺は何一つ役にたってねぇし、寧ろ俺のせいでハイジに嫌な思いをさせたんだぜ?」

納得のいかないと言った顔で俺を見上げるゼロを安心させるように口調を柔らかくして俺はゼロに言い聞かせた。

ハイジにとって重要なのはゼロがハイジの事を思って行動したと言う事で結果じゃないと言う事を。

今までの経験上俺達を憐れむ人間や同情する人間は居たが、実際に行動に移した人間は居なかった。

だからゼロのような人間はハイジにとっては貴重な存在だ。




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あきゅろす。
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