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「どうしたハイジ」

泡をシャワーで流しているとハイジが俺の隣にやって来た。

「兄ちゃんやって。濡らしちゃった」

昨日の新人歓迎パーティーの際にナイフを掴んだ包帯の巻かれた左手を気持ち悪そうに振りながらお願い、とハイジは眉を下げる。


「後で医務室に行った方が良さそうだな。痛たいか?」

俺はハイジをイスに座らせ腕を上げさせる。

「うん平気、けど何かこのシャンプー痛そうだから」

そう言って差し出されたのはピンクの液体が入ったボトルだった。

「何だこれ、俺が使ったのと違うな」


自分の使ったボトルと謎のピンクの液体が入ったボトルを見比べているとベリーズが覗き込んできた。

「どうしたんですか?」

「これもシャンプーだと思うか?」

そう言ってベリーズにボトルを見せるがベリーズも首を捻った。

「…僕こんな色したシャンプー見た事無いですよ。使わない方がいいんじゃないですか。ゼロ見た事あります?」

俺は取り合えず自分の使ったシャンプーでハイジの髪を洗ってやりながらゼロの反応をうかがう。

ゼロはベリーズに手渡されたボトルを見て顔をしかめた。

「これがシャンプーかどうかはわからねぇが、前にリズが船長にこれ貰ってたの見た事あるな。

船長は使わねぇからってリズに渡してた」


益々わからねぇ。

そう言えばエドアンがまだ来ないな。

そんな事を思っていると何やら騒がしい声が聞こえてきた。


「何だよ、良いだろ〜エド。ラクハとハイジも居るんだろ〜?」

「だから問題何だよっ!!?」

磨りガラス越しに見えるピンクの鶏冠に嫌な予感がしていると案の定、勢いよく開かれた浴室の扉から現れたのは奴だった。

「クララ!!逃げろっ!!」

エドアンの声に反応する前にピンクの鶏と目が合った。

俺の姿を確認し、目を見開いて間抜け面を晒すリズ・オーエンにテンションが下降するのがわかる。

「ラクハ…お前…っ、そんなに美人だったんなら言えよ〜」

鶏は目をギラつかせ、手を広げて俺の方までくるとガバっと俺を抱き締めてきた。


「…離せ暑苦しい」


コイツは俺を圧死させるつもりなのか。

俺は鶏の暑苦しい抱擁にうんざりしながら俺の言葉を無視して、尚且つキスを迫ってくる鳥人間の腹目掛けて取り合えず右の拳をめり込ませた。





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