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「兄ちゃん遅いよー、何かあったの?」

「いや、何でもない」

ゼロとベリーズと仲良さそうに背中を洗いあっているハイジに声だけで返事をして、俺は一呼吸置いて視線を浴室に向けた。


床一面白い大理石。

天井には天国を思わせる空から光が降っている絵が描かれている。

浴室の両サイドに設けられている洗い場のシャワー、鏡一つ一つには細やかな装飾が施されており、俺は趣味を疑った。

俺はここが風変わりな刑務所だと言うことを理解していたので深い追求は止めた。


「凄いでしょう、僕も初めて見た時はちょっと引きましたから」

ハイジ達の側のイスに座ってシャワーで体を流していると泡だらけの体を洗い流しているベリーズに声をかけられた。

「何て言うか…変わってるな」


馴れれば結構楽しいですよ、と顔を上げて俺に笑いかけたベリーズは俺の姿を見ると目を大きくして口を大きく開いた。

予想していたリアクションを受け止めながら気まずい思いをしていると、

ベリーズは視線を俺に向けたまま隣で髪を洗っていたゼロの肩をバシバシ叩く。

「何だよイテェな」

面倒そうにベリーズの視線を辿ったゼロも俺を見てベリーズと同じリアクションをする。

ゼロだけではなくベリーズまでも全身を赤く染め口をパクパクさせている。

俺はそんな2人を気の毒に思い2人から視線を外した。

「俺を無理して直視しなくていい。無意味な気も使う必要はねぇから」

俺がそう声をかけるとベリーズはとんでもないっ!と声を張り上げた。

「見ますよ!勿体無い!!ねぇゼロ!」

興奮気味のベリーズにゼロは曖昧な言葉を口にする。


「お前らが平気なら構わねぇけど…」

いまいちベリーズの言った勿体無いと言う言葉の意味はわからなかったが2人に苦痛を感じてる気配はなく、俺は一先ずその事に安堵した。

「船長とチェシャ猫、そしてラクロが悩殺された理由が納得出来ました。

僕まだストレートなんですけど…ラクハさんになら抱かれてもいいです」

「…気持ちだけ貰っとく」

やはり気を使わせてしまったらしい。

…長湯はしない方が良さそうだな。


ベリーズの心遣いを申し訳無く思いながら俺は体を洗う手を速めた。





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あきゅろす。
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