105 〈農作業(C)班〉 ーside HAIJIー 「待ってたぜハイジ。少し来るのが遅いんじゃねぇか?」 シンに案内されるまま、農機具等が収納されている広いガレージに足を踏み入れると直ぐにノアのおじさんに会うことが出来た。 「ごめんノアのおじさん。おじさんの所の囚人1人殴っちゃった」 俺がそう言うとノアのおじさんは俺とゼロに自分の所へ来るように指示した。 俺はガタガタと体を震わせているゼロの手をしっかりと握り、 野次馬のように俺達に下品な言葉を投げ掛けてくる囚人達を押し退けるようにして足を進める。 俺はゼロの手を引き、横長の大きな木箱の上に座っているノアのおじさんの目の前までくると足を止めた。 「殴ったってアイツらに何かされたのか?」 俺は首を左右に振る。 「兄ちゃんの悪口言ったから思わず手が出ちゃった」 俺がそう言ってもノアのおじさんは怒らなかった。てっきり怒られると思ってたのに。 寧ろ少し嬉しそうな顔をして俺を見つめてくる。 「…そう言えば兄貴と一緒じゃねぇんだな。ラクハは何処の班なんだ?」 「兄ちゃんは家畜班だよ」 俺がそう言うとおじさんは眉を寄せた。 「…あのサイコ野郎の所か。今頃奴の餌食になってるかも知れねぇなぁ」 これは俺の勘なんだけど多分兄ちゃんと猫さんの相性は悪くないと思うから命の危険は無いと思う。 だって兄ちゃんは俺の扱いに馴れてるから多分色々と免疫がついてる筈だから。 ただ心配なのは別の意味で襲われた時。 兄ちゃんそっちの事に関しては苦手だから、怖い目に会って無いといいんだけど。 「まぁ今は…せっかく目の前にハイジとゼロが居るんだ。こっちを楽しまねぇとな」 おじさんは俺と体を強張らせているゼロをヤらしい目で見つめ、外野にいた他の囚人に合図した。 「今日はどうします?」 「ノアさん、今日こそコイツの処女奪ってやりましょうよ」 合図と共に数人の囚人達が俺達に近づいて来た。 ノアのおじさんに見せつけるように抵抗するゼロを羽交い締めにする様子を見て今から何が始まるのかわかった。 ゼロに続き俺を拘束しようとヤらしい顔をして近づいてくる囚人達に、心の内側が冷えて行くのを感じた。 俺の腕を乱暴に掴かんで押さえつけようとする囚人さんに俺は声をかける。 「俺に触らないで。俺無理矢理支配されるの好きじゃないんだ」 BackNext [戻る] |