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短編小説
教える時は正確に
毎日会えるママ達と違い、たまにしか会えないパパが居る事にヴィヴィオは大喜びで、ずーっと側から離れず話している。

そんなヴィヴィオが微笑ましくて、なのは・はやて・フェイトは「娘が寝るまでは」と自分達が側に行くのを我慢して笑顔で見守っていた。


「パパ!お願いがあるの」


そんな中、何かを思い出したヴィヴィオが笑顔から真面目な顔になり言った。


「なんだい?」

「これにお名前書いて!」

なのは達じゃなくて僕の名前?…どれ、なんだ……ぃ……」


首を傾げたパパ=翔だったが、「見れば分かるだろう」とヴィヴィオの突き出した紙を見て、固まった。


「「「?」」」


見守っているだけの3人のママ達は訳も分からず首をかしげる。(位置的にヴィヴィオの後ろであり、ヴィヴィオの突き出した紙が何か分からないし、予想もつかないからだ)


「こ、これはどうしたのかな?」


同じ微笑でも先程までの柔らかな微笑とは違う、ニッコリとした笑顔で翔は尋ね、その笑顔が目に入ったとある3人は同時に「(やばい)」と思った。


「ケッコンのこと教えてもらったときもらったの!」

「ふーん、それで、ダレに教えて貰ったのかな?」


元気良く答えたヴィヴィオに、ニッコリとした笑顔のまま問い掛ける翔の目が、一瞬とても鋭くなった事を(不運にも)見逃さなかった3人は反射的に肩を竦めたが、同時にヴィヴィオの言った「ケッコン」にも引っかかりを覚えていた。


「スバルおねーちゃんとティアおねーちゃん!」

あいつらか…ヴィヴィオ、僕はちょっと用事が出来たから、ママ達に結婚の事についてはきちんと聞きなさい」


ヴィヴィオの頭を撫でつつ立ち上がった翔の言葉に「はーい!」と元気良く返事をしたヴィヴィオをよそに、笑顔のはずなのに恐ろしい空気を纏う翔が歩み寄って来る3人の顔は引き攣っていた。


「なのは・はやて・フェイト」

「「「は、はい!」」」

「スバル・ナカジマとティアナ・ランスターに今すぐ通信繋げろ」

「はい!」←なのは。一歩遅れたフェイトとはやてが羨ましそうな顔をしているがスルー

「ああ、それと、エリオとキャロにも」

「え?ふ、2人はどうして…?」

「念の為だ」

…はい…」←肩を落としつつ通信するフェイト。悲壮感さえ漂っているが……止めようとしない辺りに力関係というか、ナニかが垣間見える

「それと、訓練所の使用許可寄越せ」

「えーと、今からやと遅いし苦情が…」

「結界でも何でも張れ」

「で、でも「それとも、寮壊れる方が良いか?」

「直ぐ許可出します!」←即座に手続きにかかるはやて。ついでに結界を張る為に己の騎士達にも招集をかけてます





『スバル、ティアナこんな時間にゴメンね。寝てなかった?』

「いえ、まだですけど…」
「どうしたんですか?なのはさん」


スバル・ナカジマ、ティアナ・ランスターの2人は、突然の隊長からの通信に不思議そうに首を捻った。

だって、


『えーっとね』


言いよどむ隊長は、困ったようなそれだけじゃなくどこか引き攣ったような、不思議な、初めて見る顔をしていたから。


『用があったのは俺だ』


そんななのはを除けて男性──隊長達の家族のような人で、多分好きな人──が映った。

(実はこの時、画面の向こうで必然的に聞こえて(しまって)いた3人の女性は「俺になってる」とはっきりと顔を引き攣らせていたりする。が、当然スバルとティアナは知らない)


『お前等2人にはじっっっくりと話がある。今すぐ訓練所に来い』

「え?」
「今からですか!?」

『そうだ。ああ、許可はとってあるから安心しろ』

「ですが、わたし達は明日も訓練が」

『お前等の予定なんかどうでも良いから来い。
 ちなみにこれは頼んでるんでも要請してるんでも無い、命令だ。断るなら力尽くで連行する』


その男性のあまりな言葉に目を見開くスバルとティアナ。
が、2人が反論なり抗議なりをする前に隣に通信モニターが1つ開く。


『あの、僕達には何の用ですか?』


緊張気味に口を開いたエリオの隣にはキャロのモニターも開いている。


『お前達はスバル・ナカジマとティアナ・ランスターが訓練所に確実に来るようにすればいい』

『僕達が連れて行くって事ですか?』


翔の返答に困惑気味に問い返すエリオ。そんなエリオへの答えは


『いや。そこの2人が大人しく来るなら一緒にいれば良い。
 ただし、逃げたら取り押さえてでも連れて来い。逃がしたら、お前らも共犯と見做す』


ある種非情なものだった。だって後半は本気の目をしてたし。


「あ、あたし達が何したっていうんですか!」
「そうです!共犯とかなんとか、まるで犯罪者じゃないですか!」


やっと頭が回転してきたのか、気づいたスバルとティアナが怒鳴る。

『理由はこれだ』


そんな2人の眼前に映し出されたのは、一枚の紙だった。

拙いながらも一所懸命書かれたのだと分かる字で記入された1枚の───婚姻届だった。


『つい先程ヴィヴィオに「名前を書いてくれ」と差し出された物だ。見覚えはあるだろう?


呆然とするスバル・ティアナ・エリオ・キャロに、淡々と男性の声(間違いなく翔だろう)が説明する。


『お前らは知らないだろうが、俺はなあ、相手の年齢にだけは人一倍気をつけてるんだよ
 だからお前達にどう思われていようと興味も無かったんだが、気が変わった。これから訓練所で心行くまでじっっっっくりと(肉体言語で)語り合おうじゃないか』

「え、えーと、拒否権は…」

『あると思うか?』


狩る者の目をもはや隠しもしていない翔の質問(という形を取った断定)に、スバルとティアナは黙るしかなかった。


『というわけでエリオ、キャロ』

『『はい!』』

『スバル・ナカジマとティアナ・ランスターを訓練所まで確実に連れて来い』

『『ハイ!』』


敬礼して答えたエリオとキャロには………何の罪も無いだろう。

だって、この遣り取りを聞いているはずの隊長陣は何も言わなかったのだから。





「というわけで、俺はこれから2人と“ちょっと”話してくる」

「え、えーと…」
「ほ、本当に話す“だけ”なんよな?」

「もちろん。ちょっと話してくるだけだよ。肉体言語を交えて

「肉体言語て…」
「お話じゃないんじゃない・・かな〜」

「話に決まってるじゃないか。
 俺がどれだけ相手の年齢に気を使っているか骨の髄まで叩き込んでくるだけなんだから」


ゾクリとくるような笑顔で言った翔に、なのは・はやて・フェイトは悟った。

───もう何を言っても無理だ、と───

だから3人は


「「「ヴィヴィオも待ってるんだから、あんまり遅くならないようにね」」」


部下の冥福無事を(後で)祈ることにして、笑顔で送り出した。


「ああ、その間に、ヴィヴィオにキチンと正しい知識を教えておいて」

「「「もちろん!」」」


輝かんばかりの笑顔だった……… それで良いのか隊長陣?

















その後、何があったのかは分からない。誰が何と言おうと不明ったら不明なのだ。

 

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AIイラスト投稿はうたたねパレッツ
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