短編小説 再会 4.5 「ローズ、訊きたい事があるんやけど」 やけに真剣な顔で切り出したはやては [あら、やっと言ってくれるの?] 「「「へ?」」」 にっこりと楽しそうに笑うローズの返事に、(はやてだけでなく同じく真剣な顔をしたなのはとフェイト共々)呆気に取られた。 ◇ [あなた達、この1ヶ月毎日どころか暇を見つけてはこっちに来てるのよ?しかも部屋で休みもしないであちこちフラフラ歩き回ってるんだから。何かあるって思うのが普通でしょう?] イタズラっぽい流し目がオマケについたローズの言葉に、はやて・なのは・フェイトの3人は俯く。その耳が薄っすらと色づいているように見えるあたり恥ずかしいのだろう。 [それで、なんだったのかしら。話してくれる気になったんでしょう?] 「えーと、もしかして、予想ついてたり・・する?」 [エルの事かしらなんて予想してたりはしないわよ?当然] 恐る恐るのなのはの言葉に、「だから何にも予想つかないのよ」と続けたローズは……はっきり言って意地悪だろう。 だって、3人娘は「あぅ」と肩を落とし、見える耳はハッキリと赤くなっているし、そんな3人の姿にローズの笑みは深くなってるし。 そして 「う〜〜 ローズいじわるだ」 重ねられたからかいに、涙目で空間に映るローズを睨む誰か。 まあ、根を上げたともいうが。 うん、誰とは言わないけど、人数としては3人ほど。 ◇ 「アンちゃんて今こっちの方にいるんよな?」 やっとはやてが本題を切り出したのは、(とある時から)1時間ほど経過していたが触れないであげよう。そんな事したら…… [こっちではあるけど… そこじゃないわよ?] 「「「?」」」 ローズの言葉に、3人は揃って首を傾げた。 [確かにエルはこっちで療養してるわ。けど、忘れてない?] 「なにを?」 [貴女達が自由に出来る“そこ”は、ここの一部。浮島の一つなの。もっと分かりやすく言うなら、そこは“離れ”や“別荘”みたいなものなのよ?] 「「あ!」」 「…初めて聞いたよ?」 ローズの説明に、聞いた事を微かに思い出した2人(けど、説明を聞いたのは幼いなんてもんじゃない時だったから、覚えていた事に後で感心した)は声を上げ、初耳だった1人は自己申告した(聞いた内容の凄さに驚きで目を見開いてはいたが)。 [そういえばフェイトには話してなかったわね。ごめんなさい] 「あ、ううん。わたしも、ここについて訊いた事無かったし」 [ありがとう] ローズの謝罪にフェイトは慌てて首を振った。 事実「今日からここはフェイトの部屋だよ」と巨大な部屋を与えられ出入りの方法を教えられてから今まで、特にこの場についての質問をした事がフェイトは無かった。 与えられた部屋の大きさと、その部屋を複数持つ屋敷の巨大さと、それ以上の、森どころか山まで備える(地平線が見えそうな)広大な土地に、「時の庭園みたいな物かな」と納得していたからだ。 [エルの療養は確かにこっちで私がしてるけど、一番小さいそこや他の浮島ではしないわ。ここの主なのよ?中央の本島に決まってるじゃない] 「「「そうだね……………………一番小さいって言った!?」 当然といえば当然の説明に、肩を落とし納得(したくないが)してしまった3人は……聞き流してしまいそうな(というか流した方が幸せだった…かも?)言葉に引っかかりを覚え叫んだ。 [? ええ。貴女達に与えられたその浮島は一番小さいのよ。狭かったらエルに言えばもっと大きいのと換えてくれるわよ?部屋が狭いなら、増築なら私に言ってくれればすぐやるけど] 「「「いい!十分です!!」」」 100%本気としかとれない台詞に、奇しくも3人の声は揃っていた。下手に乗って本当に引越しや増築になったら(今でも広さを持余し気味なのに)手に余るからだ。部屋だって、広過ぎて1人で寝るのは寂しくて3人一緒に寝てるのに…… 「え、えーと、」 「とりあえず」 「アンちゃんはここに居らんのやな?」 [ええ。貴女達が今居るそこにはいないわ] 何とか話を戻した3人の確認をローズはあっさり肯定し、された3人はズーンと肩を落とす。 [毎日のようにこっちに来てたのも医務室や回復室がある辺りを散歩してたのも、やっぱりそれが目的だったのね] 楽しそうなローズの言葉を、頭を垂れた3人は力無く肯定した。 事実、「もしかしら(帰ってくる前に)会えるかも」「ダメでも見るくらいは出来るかも」という思いから、3人はこの“家”に頻繁に訪れては可能性のある区画を だから3人は[もう暫くはポッドに入って寝てるから無理よ]というローズにも退かずに願い出た。 「映像越しでも良いから会いたい。寝てるなら、見るだけで良いから」 と [前へ][次へ] [戻る] |