無限者の一時 第24話追加的小話(裏話?) 「一番穏便なのは“全部終わるまで薬で眠らせておく”だよ」 「あー…そうなんやろうけどなんや抵抗あるゆーか………」 「えーーと、こーいしょー?っていうのはないの?」 口ごもるはやてに、なのはが尋ねる。 が、 「適量をきちんと使えば無いのはすぐ準備できるよ」 「せやったら………………えーんか?」 はやて、半陥落? 「はやてちゃん!?」 「なんやもう考えんの億劫になってもうて。遭わずにすむんやし、怪我するんでもないんならえーかなー、と」 「や、それは、なのはも分かるけど…」 「「「「(分かるのか!?)」」」」←一同心の突っ込み はやての弁解に、実はこちらも頷きかけているなのは。 そんななのはの言葉に無言で、だが心中で(同じ)突込みを入れている士郎・桃子・恭也・美由紀。 「わたしにとって一番大切なんはここにいる事や。 アンちゃんやなのはちゃん、桃子さん達高町家の皆さんと、すずかちゃんやありさちゃん、みんなといる事や。ほんで、今はフェイトちゃんと友達になるんも追加しとる」 「うん。それはなのはもだよ」 そんな周囲に構わずはやてはなのはと向き合い心の内を語る。 「正直、それを壊すかもしれんイタチはどうでもええ、ちゅーか、遭いとうないんよ。その上、フェイトちゃんと友達になるゆー大事な目標の邪魔にしかならん相手の為にこれ以上頭悩ましたりなんてしとーない」 「んー それは凄く良く分かるの。なのはもヒューやはやてちゃんやみんなと一緒にいる方がずっと大事だし、フェイトちゃんとも友達になりたい。けど………」 「他にもっと穏やかなんがあるんやないか思うんやろ?」 「うん」 はやての問い掛けに、それが思いつかないなのははコクリと頷いたまま俯いている。 「その気持ちは分かるんよ。わたしかてそう思う。けど、そっちに使うよりどうやってフェイトちゃんと友達になるかの方に頭使いたいんよ」 「それもそうなんだよね………」 はやての言葉にうんうんと頷いているなのは。 高町なのはと八神はやて──翔に育てられたと言っても過言ではない少女達──は、実はというか、当然と言うか、翔の影響を受けている。 今回出てきているのは「優先順位」といったところだろうか? 翔の言葉を使うなら “全てを守るなんてどんなに大きな力を持っていても無理。僕は君達より大きな力を持っているけど、全部を助けて守るなんて、例えしようとしても出来ない。 だろうか? 言葉と、その言葉を実践する人間に育てられているのだ、どうしたって影響は受ける。本人達は自覚していないだろうが、「優先順位」という考えは、彼女たちの中に実はしっかりと根付いていたりするのだ。 「うーん……でも……」 それでも、やっぱり幼い少女がそう簡単に割り切れるものでもない。根付いている場所がまだ無意識下であり、本人達が気づいていないのもあるが・・・ 「翔君、記憶を消したりとかも出来るのかい?」 陥落しかけながらも悩むなのはの姿に、士郎が翔へ問いかける。 「出来ますけど、今回は無理ですよ」 「なぜだい?」 翔の返事に、士郎が問い返す。 また、「解決策かも?」という気持ちから、2人の少女の視線も向く。 「ジュエルシートについての記憶を消した場合、それが目的で来ていたのならこの世界から出て行くでしょうけど、元の世界に“ジュエルシードが目的で来ていた”事を知る人間がいたら記憶が消されてる=魔導師がいる、ですし。 なのはちゃんと遭った時の記憶を消したら、レイジングハート持ってない事を疑問に思って探すでしょうし、レイジングハートの記憶も消しても、“レイジングハートを持っていた”って事を知ってる人間がいれば、というか多分いるでしょうから持ってない、覚えてない=記憶が消されてる。になるでしょうし」 翔の説明に、問い掛けた士郎だけでなく、聞いていた者達も納得して頷く。 「確かに、全ての記憶を消すという手もあるだろうが…… その場合、やはり面倒も見なければいけないのか?」 「そんなのダメ!!」 「そんなんあかん!!」 「や、恭ちゃん、それは流石に……」 ある意味究極の解決策(だって、肉体的には危害加えないし穏便な方法だし♪)に、なのはとはやては声を上げ、美由紀も突込みを入れていた。 「まあ、今すぐ結論を出さないといけない問題でも無いですから、話を戻しましょう」 “良い案が浮かんだら検討する”と言う事で、と、某フェレットの処遇については後回しになるのだった。 [前へ][次へ] [戻る] |