[携帯モード] [URL送信]

main

「何かあったら、頼ってね。できることは少ないけど」
「いえ、ここに呼んでくださっただけで、十分です」
「そう。・・・・目的のために?」
「はい、目的のために。」

しばし沈黙。
彼は何か考えているようだったが、胸元に手をやり名刺を一枚出した後、なにやら書き込んで俺にくれた。

電話番号とメールアドレスだ。


「プライベート番号だよ。なにかあったら電話して」
そういって40代とは到底思えない彫りの深い顔でにこやかに笑った。

「使わずに卒業したいですね」
「そうだね。・・さ!呼びたててごめんね。もう行っていいよ。部屋の片づけもあるしね。」
「はい、ありがとうございました」

深々と頭を下げ、理事長室を後にしようと扉に手をかけたとき

「副会長に会ったかい?」

と声をかけられた。
そもそも副会長に俺を呼んで来いと言ったのは理事長であるから、これはそのままの意味ではない。
『副会長が誰か気付いたかい?』と彼は聞いているのだ。
俺は振り向かず頷いた。

「そうか」
その言葉には返事をせず部屋を後にした。



[*前へ][次へ#]

8/23ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!