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理事長
腹黒王子と別れてから、というか走って逃げたところから、そんなに距離があったわけではなかったが、緊張もあったのか少し息が切れていた。
走るのは、というか運動は全般的に得意だったので、鈍ったかなぁと適度な運動を誓う。
到着した特別棟は各教員の個室やらがそろっており、最上階に理事長室は存在した。

6階にあることを知っていたため、そのまま直接エレベーターに乗り込んだ。

最上階には理事長室のほかに応接室があるだけで人の往来はほとんどない。
素直に理事長室のインターホンを鳴らす

「どうぞー」
年若い声が聞こえたため、豪奢な扉をゆっくり開けると
およそ半年振りに会った顔がすぐ見えた。


「お久しぶりです」
「うん、あの日以来だね」


促されるままソファーに座り、部屋の主と向き合った。


「特待生になったって聞いて、びっくりしたよ。お金のことなんか気にしなくてよかったのに」
「せっかくタダになるんですから、使わない手はないと思ったので」
「うーん、しっかりしすぎている」


真理に似たのかな、と理事長は目を細めて俺を見る。
その目はどこまでもやさしい。

そんなに何度も会ったことがあるわけではないが、
いい印象しかない。

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あきゅろす。
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