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一歩と言わず2mくらい間隔を空けてついていく俺に副会長様は苛々しているようだった。

えぇ、顔は超笑顔なんですけどね、
なんか能面のように張り付いてる感じするよね。


俺もバカじゃないし、
自分に向けられる気持ちが好意かそうじゃないかってくらいはわかるつもりだ。


「あのー」
遠慮しつつも声をかける。


「俺、理事長室わかります。だから道案内してもらわなくても大丈夫なんで。ありがとうございました。」


いたたまれない空気を打破すべく、提案したことだったけど、なにやらご機嫌を損ねたようで、振り返った王子様はさらに笑みを深くしていた。


「私の親切を素直に受け取れないんですか」


ひねてんね、こりゃ。
友達いねーだろーな。


「いーえ、そのままの意味です。どうとってもらってもいいですけど。気に入らない奴の相手より、もっと生産的なことをしてくださいな」


じゃ、俺はこれでと副会長の横を通り過ぎた瞬間、荷物を持っていた右腕を掴まれた。


「バカにしているのですか」


笑顔がデフォなんだろう副会長の顔が崩れ、眉間に皺を寄せ、怒りを表している。


お、なんかいい顔になったな。
高校生らしくていい。


「いーえ、全然。副会長さん。もっと楽に生きましょう、ね。」


俺は精いっぱいの笑顔で返す。
呆気にとられて、腕をつかんだ手が緩んだ瞬間を見計らって



俺はダッシュで逃げました。


ふーやれやれ。
もう関わりあいになりたくないなー。
俺が気づいてないって思ってたみたいだったし。


残念、そう簡単に玩具になってたまるか。
俺は、


俺は


もう何もいらないから、何もかももらったから、

お願いだから
ほおっておいてくれ。

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