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副会長様
「私の案内はここまでです。これから制服や体操着など必要なものが配られます。それをもって各自寮へ行き、寮長から部屋の説明をうけてください。」


ぞろぞろと青年についてきた先は小さめの体育館みたいなところだった。


俺たちの案内をしてくれた青年は生徒会の副会長だという。名前は聞いたけど、忘れた。


親友の姉には
「王道設定だとね、だいたい副会長は腹黒なのよ。まちがっても、うそ臭い笑顔とか言ったらだめよ。」
と諭されたが、


いくらあんまり空気読めない子の俺でも
初対面の目上の人にそんなこと言いません。


王道がなにかあんまりわからんが、こういうほんとに腹に何飼ってるやつはあんまり好きじゃないし、面倒事に巻き込まれるのは嫌なので、
俺は華麗にスルースキルを発動した。


言葉を交わすどころか、視線を向けることなく、指示通り制服を受け取り、他の子たちが進む方向に向かおうとした俺に、美声がかけられた。


「当麻 輝明 くん。」


あぁ、なんだか面倒事の匂いがするー。
後ろを振り向くかどうか悩んでいる間に俺に視線が集まるのを感じる。


「なんでしょうか」
「特待生には、理事長からお話があります。私についてきてください」


特待生という言葉に少しだけ周囲がざわついた。



「早くしてください」
ついていきたくないという気持ちの表れか、牛歩のごとくノロい俺に、焦れたような声がかけられる。


あー、めっちゃいい笑顔すね。
営業スマイル。
腹黒王子副会長のスマイルはタダじゃねーだろな。

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