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俺が通うことになった全寮制の高校は、都内の郊外に位置していた。
電車を乗り継いで本来はバスに乗るのだが、どうやらバスの利用者は少ないようで2時間に1本というゆるめなダイヤだったので、集合時間に間に合わないだろうと止む無くタクだ。


うん、待つのあんまり好きくないしね。
しかたないね。


タクの運ちゃんは高校をご存じのようで、何もいわず発車してくれたため、車窓の風景をみながら、緑が多くてよかったとぼんやり思っていた。


タクシーで20分ほどで目的の場所につき、正門と思われる場所で降りると、
もうすでに何人か集まっているようだ。


皆一様に着飾っているように思えて、小さくため息がでる。


彼らとは反対に俺はだぼっとしたパーカーにジーンズという出で立ちだ。


親友の姉の言葉を思い出す。
「いけすかないボンボンばっかりで、最悪なのよ。テルちゃんは染まらないでね」


うむ。偏見はいかんが、さっきから俺へ向けられる侮蔑の視線が痛いでありますな。
おい、そこの小太りめ!俺は汚くありません。
ちゃんと新しいの着てきました!


何人かはもうグループを形成しているようで、なにやら話をしてにやついている。


人がぞくぞくとあつまり20名ほどになったとき、それはそれは豪華な重そうな門がひとりでに開いた。

その前には金髪碧眼の青年が立っており、集まった少年たちは彼に注目しているようだったが、


俺はそれよりも門が開いた先にある
桜並木に目を奪われていた。


仕方なく、というか抗えない感じで決まった学園だったが、
この風景が見れるなら、悪くない、と思った。

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あきゅろす。
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