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オリエンテーションは恙無く終わり、長蛇の列に並んで教科書を受け取り、帰路に着こうと体育館を出たところで、何人かに絡まれているように見える先程の美少年が見えた。
教科書がこれでもかと詰められた袋を取り合っているように見える。
あー、こういう面倒事にはかかわらないって決めてるから。
しれっと横を通りかかったとき、聞き捨てられない言葉が聞こえてきた。
「いいって言ってるだろ!」
「俺が声かけてやってるんだ!たかだが仕えるしか能がない家柄のやつが!逆らうなよ!」
美少年の顔がかっと赤くなる。拳を握りしめてる。殴りかかりたそうだなー。
あーもー、面倒事はいやなんだけどー。
「わかったな、部屋へ行くぞ!!」
男が美少年の手を掴んだ。
だーもー!!!
「とうっ」
と軽く掛け声し、騒動の中へ突っ込んで、華麗に美少年を救出するってことはできないので、
ここは普通に
「ねー、君。先生が呼んでたよ」
とハッタリで切り抜けよう。
「あぁ?誰だよ、お前」
「とある編入生です。お気になさらず。ささ、早く行った方がいいよ。舞台の左側の先生だよ」
男は振り向いて、
「げ、森田」と慌てて歩いていく。
数人の連れも一緒だ。
「??」
はてなマークいっぱいの美少年の手をにぎった。
「嘘だから、ばれないうちにズラかるよ」
「は?」
頭の整理がつかないのか、俺について走りだしてくれた。
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