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モノクロなる恋模様
四話:ウザい奴


授業終了の鐘で目が覚めた。見ると、クラスの奴ら全員が、あわただしく前を向いていた。そんな焦ることか?
とりあえず、今日のテストは終了。普通なら、ここから購買で学食を買うか、寮に昼飯を食いに行くかのニ択だが、俺の場合午後の授業には出ないので、急ぐ必要もない。一回伸びをしてから、机に肘を突く。今まさに、購買の前は賑わっていることだろう。そんなとこにわざわざ行ったら、全員俺に道を開けるか、絡んでくるかに違いない。あーめんどくせぇ。


教室からは、俺と同じ場所にいるのが嫌なのかどんどんクラスの奴らが消えていった。上等。こっちも関わる気はねーし。しかし、もう少し待たないといけないのは癪だ。早くサボりたいに、廊下歩くだけで悪い意味での注目の的だ。悪く思われるのは構わないが、なら徹底的に無視してほしい。関わりたくない。

教室からはほとんど人が居なくなって、残すところあと二人。どうやら友達のようで、片方が早く行こうと催促してるのに、もう片方はわざととしか思えないほどゆっくりと机の上を片付けている。挙げ句の果てには、先に行ってて、と促し、教室には俺とそのノロマだけになった。
鬱陶しいから早く出てけよ、視界の邪魔だ。
しかしソイツは出ていく気配すらなく、ささっと机の後片付けを済ませてから、チラッとこっちをみた。
まさかこっちを見るとは思わなくて、慌てて睨むと、ソイツの顔の口角が上がった。
何故だ、いつものように睨み付けたはずなのに。
するとソイツは席を立って、こっちに近づいてきた。これもまた予想外。さらに強く睨み付ける。ソイツはにやにやしたままだ。クソッ、腹立つ。
近づいてきたままに、俺の前の席に座り、体を反転させた。ようは、この俺と向き合っているわけだ。なかなかの至近距離で。

俺は迷わなかった。

ガンッ!、とソイツが座ってる椅子を下から蹴りあげると、椅子が一瞬浮いた。

それと同時に、


「ちょっ、怖い怖い怖い怖いっ」

なんて言ってきやがった。早く追っ払いたい。
立て続けに蹴り続けると、

「ちょっ、やめてやめてやめてやめて!」


だと。
余計腹が立つ。
意識して低い声で、


「…早く出ていけ、肉塊にすんぞ」

って呟いたら、

「ヒューッ、こ〜わw」

っておちょくられて。


それと同時に、

ガン!


「痛い!…はぁ、たんこぶ出来ちゃうじゃーん」

「黙れ。俺に近寄んな」

「やーだ。どこにいようが自由でしょ?」

「どうなってもしんねーぞ」

「え、どうなるの俺?」


どうやらスゲェめんどくせぇ奴に出会ったらしい。これはもう一発殴るべきか?


「あ、こんにちはッ、俺潮原とおるっていうの。よろしく!」

「……」


急な自己紹介に困惑する。やっぱ殴ろうか。うん殴ろう。
手に力を込めたとき、


「お前の名前は?」


って聞かれた。 久しぶりな普通の人との会話に、思わず混乱してしまう。手に入れた力もフッと抜けてしまって。


「黒鷺…藍人」

「くろさきあいと?うわ藍人って…なんか不良っぽくねーなッ」

「ウッセェよ、殴られたくなかったらどっか行け。視界の邪魔だ」

「視界の邪魔って言われてもこの世界はお前にとって都合のいいものばかり見せるためにある訳じゃないから拒否しま〜す」


ウザい。

フルボッコにしてぇ…。

「他のとこ行きやがれ…邪魔だ」

「あ、勘違いすんなよ?俺は別に敵意があってここにいるんじゃねーからな?ただちょっと気になって」

「黙れ。マジで肉塊にすんぞ」

「名前まで教えてくれたのに肉塊にすんの?基準おかしくない?」

あぁ…。
本当にウゼェ…。
しゃーない、と思い、腕に力を込めると、

「きゃー怖いw!」


と、拳が届かないとこまで逃げやがった。追いかけるか?
いや、挑発に乗ったら終わりだ。


「…なんで話しかけてくんだよ…つーか邪魔だ、消えろ」

と、不満げに低い声で言うと、

「え〜?だって面白そうじゃん、お前w。俺からしたらあんま怖くねーし?」

と返ってきた。

「あァ゛?…テメェ嘗めてんのか…」

「嘗めてはないけどぉー、恐怖心とかその他もろもろはテストと共に消え去ったね(遠い目」

「…はァ?」


なんなんだコイツ。どういう意味だよ。

「まぁそんなことより…俺と友達になろーよ。お前といると、退屈しなさそう」

「誰がなるか殺すぞ」

「じゃあ俺が四六時中付きまとってもいーの?」

「…ボコボコにすんぞ」

「じゃあ風紀委員のお世話になってもいーの?…ちなみに俺風紀委員w」


「…」


…クソが。俺が未だに風紀委員に指導受けてないのなんで知ってやがる。

「だから友達!ね♪」

握手を求めてきやがった。差し出された右手は自信満々で、行動の一つ一つに腹が立った。
だから、バシッとその手を払って、窓の外を見ながら、


「…勝手にしろ」


と呟いた。

イライラして五感全てを窓の外に向けていたから、

「…うわ…無自覚ツンデレ?…だったらたち悪…」

なんてぼやいてやがったのは聞こえなかった。




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あきゅろす。
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