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中短編
8
しばらくして会計が落ち着き俺から離れて書記にくっついた。

「会長、あの、ごめんなさい」

会計は俯き書記の袖を握りながら小さな声で謝った。

「かいちょ、ごめんなさい」

書記は俺の目をみてしょぼんとした様子で謝った。

「その謝罪は何に対してのものだ?」

そんな二人をみた旭が鋭い目を向け言い放つ。

「おれ、仕事放り出して、会長に押し付けた。仕事もしないで遊んだ」
「かいちょ、仕事さぼって、ごめんなさい」

旭の鋭い目つきは変わらぬままだ。俺が口を開こうとすると睨んで黙らせてくる。

「お前らがやるべきこともせず遊び呆けた結果、こいつは寝不足栄養失調貧血、挙げ句の果てに南を庇って頭部打って気絶した」
「っ」
「…」

旭の「南を庇って」で会計がびくりと肩を揺らした。

「はぁ…、旭、言い過ぎだ。あまりこいつらをいじめるな。俺の寝不足栄養失調貧血は俺が自己管理できていなかったせいだし、海斗を庇ったのも俺の意思だ。海斗、怪我はないか?」
「…大丈夫、会長が守ってくれたから、無傷だったよ」
「良かった。巧も、戻ってきてくれてありがとな」
「かいちょ、…ごめんなさい」

会計も書記も泣きそうな顔をしている。そんな顔をさせたいわけではないんだけどな。

「で、秋本は?」
「「…」」
「おい蘇芳」

名前を呼ばれ旭の目を見た瞬間何を言われるのか分かった。

「…何だ」
「秋本はリコールするがいいな?」
「「!!」」

二人は驚き目を見開いていたが俺はため息しかでない。

「どうせ俺が何言ったってリコールは決定事項だろ」
「ついでに言うとクソ毬藻は退学だ」
「大歓迎だな」

心の声が漏れた。仕方ないだろう。

「かいちょ」「会長」

会計と書記が同時に俺を見る。

「何か不満でもあるのか」

俺の言葉に二人ともどもりながら何かを言おうとしている。

「何だ貴様ら、何か文句でもあるのか?」
「旭、やめろ」
「だが」
「だがじゃねぇやめろ」
「会長、副会長の事…」

旭を止めていると会計がやっと何かを言い始めた。

「何だ、もう一回ちゃんと言え」
「副会長の事、見捨てるの?」
「見捨てる、か。良くねぇ言い回しだな」
「ごめん…」
「だがそうだな、見捨てる。そうだ。俺はあいつを見捨てる」
「「…」」

二人の視線が俺に突き刺さる。





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