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異世界の姫君
来てくれた人




観覧モニターの前、リボーン達は
綱吉とXANXUSの戦いが映し出されており見ていた

雲雀とベルの戦いは先程ベルが逃げる形で終わり、
雲雀は「口程にもないな」と言いつつ結構な傷を負った

フッと綱吉が映っていた画面から別の場所に替わった

「……?プールか?
…!!!!唯!!」

リボーンはいち早く画面が移動するなか、
画面端に現れた人物、唯に気がついた

「こりゃーヤベーな…
唯ちゃん目を覚ましちゃったみたいだな
起きたと確認され毒を投与されてる」

「唯殿かなり苦しんでるようです!」

画面の中の唯は未だにちゃんと息が出来ないらしく、不規則な呼吸が聞こえる

「あの状態は、早く解毒しねーと
死んじまうぞコラ!!!」

コロネロも唯の状態を見てヤバイ事に気がついた

「唯の場所はチェルベッロがランダムで決めたから、ツナ達は知らねー
チッ……唯は今体が弱ってるってのに!!」

そうなのだ、唯は少しの時間起きて
痛みが再度来る前に少量のご飯を食べ
また眠ってしまったので
現在唯は栄養不足で体力が落ちているのだ

観覧モニターの前にいる全員が唯を心配しながら見ていたらまた、モニターの画面は綱吉の方に替わった

「ツナ急いで唯を解毒しろ……」

リボーンは画面の中の綱吉を見ながら言った
聞こえないと分かっていても…








…ハァ……ハァ…


時間はどれだけ過ぎただろう
段々とこの辛さに慣れてきてるな……

さっきようやく涙は止まった
今の私の顔酷いだろうな……
目は赤くなってるだろうし……

唯は不規則な呼吸をしながら、夜空を見上げ
考え事に浸っていた

そうやあ、こっちの世界に来てもうかれこれ
1ヶ月以上たったな……

…大半は寝て過ごしていたけど…;

この世界の人は優しくて嬉しい気持ちで胸が一杯になるけど、やっぱり心の何処かが空白なんだよね

……その空白は多分、アレンやリナリー、ラビ、神田仲間達に会えない寂しさからくるんだろうな…

帰りたいでも帰れない

会いたいでも会えない

こんな思いばっかりだな……

唯は左手を夜空に向け、伸ばした
まるで、夜空に輝く星を取ろうとしているみたいに

そして、口を開き
荒い息遣いをしながら

「…ハ…ァ…ハァ………
…イ…ノ…セン…ス…シキ…オ……ウ…………こう………」

イノセンスの名前と自分の大切な存在の
もう一つのイノセンスを供えた幸の名前を
弱々しい声で呼んだ

その時、
ガシャンとフェンスが開く音がした

唯は夜空に向けていた手を降ろし
視線を音がした方に向ける

視線を向けても今は夜なので暗闇で何も見えなかった

……コツ……コツ

靴の足音がしてその音は唯の方に向かって来ていた

誰か見えないので 、怖いもの苦手の唯は
微かに体が震えていた

目をギュッと瞑り、
どうか怖いものではありませんようにと強く願った

すると、フッ何か頬に触れて
思わず「…ッ…!」と声を出してしまった

「良かったのな!!唯まだ生きてて」

唯はこの声を聞いて目を開けた

「…たけ…し…さ……?」

「ああ、待ってろ
今解毒してやるからなっ!」

唯を見つけ、助けに来たのは
なんと山本武だった

山本は唯の腕を持ち、自分のリングで唯を解毒した

唯はやっと呼吸も落ち着き、起き上がれた
そして、山本を見上げ

抱きついた

「なっ//////////!!!??」

山本は顔を真っ赤にさせ、唯を見た
唯は山本の胸に顔をうめ、涙を流した

「…ック…武さん…お…お化けが…来たのかと…おもって……ゥック…こ…わかった…フェ…」

唯は一人でいるのが寂しかったのと
お化けが来たのかもと恐怖一杯だったらしく
我慢仕切れなかったみたいだ

さっき止まったと思った涙もまた
次から次へと溢れた

山本は顔の赤みが引いてから
唯が泣いているのはお化けだけじゃないと
気づき唯の頭を子供をあやすように撫でた

「唯大丈夫だぜ
俺が傍にいるだろ?なっ…だからさ、泣き止めって
唯が怖いもんは俺がやっつけてやるからさっ!」

唯はその言葉で涙を止め、
山本の胸から体を離しうつむいた

「…はい…」

唯は涙を手で擦りながら顔を上げ

「助けてくれて、ありがとうございました
………武さん」

山本の顔を見ながら笑顔でお礼を言った




「ッ//////」




その笑顔で山本はまた、頬を赤くした





だが、今は夜で暗いので
山本が顔を赤くしているのを唯はみえないでいた










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