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異世界の姫君
嫌な予感





ーーーーーー…



「……ねえ、幸……お願いがあるの」

抱き締めていた幸から離れ、幸の顔に両手を包むように置く
周りを包むように吹く強い風
なんだか、その風は嫌な雰囲気を醸し出す

「(何?…唯)」

コツンと幸の頭に私の額をつける
私のお願い幸は怒るだろうな

「先に………
綱吉さん達の元に行ってくれないかな?」

言いにくかったけど、言った
そしたら案の定幸は怒り出した

「(何で!?僕今言ったじゃないか!!
僕は唯の傍にいる、唯を守るんだって!!!

それに、僕、唯以外の人間なんて大っ嫌いだ!!!
だから、僕は行かない!!唯の元から離れない!!!!」

私から離れ頑なに綱吉さん達の元に行くのを拒む
絶対に私から離れないと再度言う幸
それでも、私は幸に近づき言葉の思いを発する

「……幸…幸が人間嫌いなのは分かってるよ……
……でも………とても、嫌な予感がするの……

綱吉さん達に対して、怖いくらいに嫌な予感が…」

この胸の中に溢れてくる黒いもやもや
そして、頭の中での頭痛
"視る"力を使わなくなっても、ずっとその力は私の中に存在する
だからだろうか、悪いことが起きそうな時は
必ずと言っていいほど、胸の中がもやもやとして、頭痛までしだす

当たるからこそ、怖い
それを見たことがあったからか、思い出したからか
無意識に身体が震える
もしも、ユニや綱吉さん達に何かあったら、
私は後悔と申し訳なさと悲しみで戦えなくなってしまうかもしれない

それほど、怖いのだ

「…お願い…幸………」

声まで震えている
こうゆうとき、私はまだ心の面でも弱いと感じる

「(………………


………分かったよ………)」

幸が無言ののち、承諾してくれた
幸も私の悪い予感が当たることを知っている
幾度となく、その現場に私と居たからだ

「……っありがとう、幸!!!
もう、幸いい子!!大大大好き!!」

ぎゅーーーっとまた抱きつく
そしたら、幸は呆れたような感じで、

「(…唯ってば、ゲンキンだなぁ;

でも、行って助けてくる変わりに唯は、
もう少しだけでも、身体を休めといてよね!

分かった?)」

何だか説教じみてきた
……なんか、幸、アレンみたいだよ;?

「うん、分かった
ごめんね、幸…ありがとう

ユニや綱吉さん達を助けてあげてね
あっ、でも無茶は駄目だよ?
私も少し休んだら必ず行くから」

「(唯に無茶は駄目だなんて言われなくないなぁ〜)」

「………それもそうですね;」

そうやあそうだよね………
私が主に無茶ばかりしていて、皆に
心配かけてたよ;

「(それじゃあ、行ってくるよ
………憂鬱だけど})」

最後のは聞こえなかったことにしよう
うん、私は何も聞いていない
聞いたのは行ってくるだけ……

「いってらっしゃい、幸!!」

幸は空中へと歩くと上空で疾風走を発動し、
すぐに空の彼方へと消えた
私はそれを見届けて、木に寄りかかるように座り込んだ

幸が知っていた事は全部、事実
私の寿命はもうかなりの年数が減っている
命が削られていっている

駄目だな、
今は幸に綱吉さん達の事を任せて私は休もう
身体が辛い、寝よう

起きたらすぐに、綱吉さん達の元に向かおう
今の私は足手まといだから、
休んで体力を温存させよう



ユニや綱吉さん達を守ってね………












そうして私はまた、深い眠りについた






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