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異世界の姫君
記憶の封




「ねぇ、おかあさん」

体の弱かったお母さん
だからか、よく、縁側に座り私を見ていた

「ん、どうしたの?唯」

いつも優しいお母さんの笑顔
見ているだけでとても、落ち着けた

私はたまに見えない≪何か≫に怯えていた
その≪何か≫はよく分からなかったが
それでも怖った

だから、ただお母さんと呼んだ
そこにちゃんと存在しているのか、確認の為、
落ち着くために

「うんん、なんでもないよ
おばあちゃん…かえりがおそいね」

「そうね、もうそろそろ帰ってくるんじや
ないかしら
こんなに遅いってことは、
大量なんじゃないかしらね」

「おぉ!それならきょうはごちそう?」

「ウフフ…唯ったら、食いしん坊さんね」

「えへっん!」

胸を張ってそう言うとまた笑い出すお母さん
お母さんが笑うと私も、嬉しくなる
ついでにと森に入ったときお友達になった
お猿さんのマネもしてあげる

そしたら、もうお母さんは大爆笑
よっしゃっと私までニコニコ


そんな、
和やかな時間を過ごしていた時だった


[アレェ?コンナトコロニ、ニンゲンダ!]

私の上に大きな影を作った何かがそう言った
声から伝わる、恐怖
決してこれはいいものではない

[モウココニハニンゲンハイナイトオモッテヨ
ヤッター、オレガミツケタンダカラ


ーーーーオレガ、コロシテイインダヨネ!!]

…こ…ろ…す?

「唯!!!」

−−ガアッンンッッ

「おかあさんっ!」

私を守るように前に居たのは先程まで
縁側で座っていたお母さん

「大丈夫よ、唯
唯の事はお母さんが守るから

あの人との大切な子だから!!!」

手を前に翳して敵の攻撃を止めていた
触れることなく、
今まで見たことがないお母さんの姿だった

カッコ良かった、強かった、でも、



「お、かあさ…ん…」

お母さんは


崩れていっていた

どうゆうことなの?

っわかんない、わかんない!!

「ご…めん…ね…私…唯の
成長を…見てあげられない…みたい………」

どんどんお母さんの身体にヒビが入っていく
なんで、なんで、嫌だよ!!
死なないで……死なないで!!

ボロボロ流れ落ちていく涙

「唯、…お母さんは…
唯がどんな運命を生きても…
見守って…いるわ…

……悔いのないよう……生きなさい…」

ーーーーーーーーさぁぁあぁぁっっっ

「いや、いや……おかぁさあん!!!

あっ…ぁっ…ぁぁああっっ!!!!…」

泣き崩れる、辛くてくるしくて涙が止まらない
私が、私のせい…お母さんっっ!!

[イタタ、ツヨイヤツシンダ?
ジャアツギ、オマエ、オマエコロス

シネェーーー!!!]

「おかあさん……」

敵の尖った腕が振り下ろされる
でも、そんな事を気にもできず涙を流したまま
砂となったお母さんを見ていた



ーーーーーぱあぁあぁぁあっっ

[アァッッ!!マブシイッッツ!!!]



くるくる回って光と共に私の腕にハマって
いるのは綺麗なブレスレット
目に入り唖然とする

そのブレスレットはまた光そして手に
違和感がはしった
それは、刀でそしていつの間にか私は
敵の人をその刀で真っ二つに斬っていた

「え……?なんで?」

[オマエノ、ソレ、イノセンス!?]

「唯、柚実!!!」

「おばあちゃん…おかあさんが…」

フラッッ………ドサッ

「唯!!」

私はそのまま気を失った

「お前はAKUMAっ!!
どうして、この場所に入ってこれたんだい!!」

[イヒヒヒ、ドウシテモコシテモ
フツウニハイッテコレタサ]

「レベル2ごときが破れる結界では無かったはず
だとすると、我々の力の衰えが原因か…

………ぁあっっ
もっと早くに強化をしていれば柚実は
死ぬことなく、唯は辛い思いをしなくて済んだのに…

イノセンスが適合してしまうことも
なかったかも知れないのに」

[ハクシャクサマガココニクル、ニゲナイト]

「ああ、分かっておる
そなたも唯のイノセンスのお陰でやっと解放された命
早く神の元に戻れ」

[アリガトウトツタエテオイテクレ

…………ソシテ、スマナカッタト……]

ーーーーーーーーーパリッンッツ!!!

AKUMAはお祖母ちゃんに伝言を頼むと爆発した
そんなAKUMAを見届けたお祖母ちゃんは
気を失っている私に目を向け

「すまぬな、AKUMAよ
唯には伝えてやれぬ…

この記憶は封印しとかねばならん
まだ、幼いこの子には酷な記憶だ」


そうしてお祖母ちゃんは私の記憶を封印した




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