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異世界の姫君
逆転



キンキンと刃物の交わる音が響くなか
先程まで聞こえなかった敵の雉さんの疲れている声
数分はこの状態が続き体力的に限界間際なのだろう
術ばかりに頼りすぎて肉弾戦は
余りなかったのだと思う

まぁ、もう幻術使う元気さえ残っていない
と思うけどね
とか思っていたらそうでもないようだ

間合いを取った雉さんは私に向かい
花を一気に放出した

「このままじゃ…はぁ…長く続いちゃうじゃない
…はぁ…肉弾戦って…苦手なのに思ったより結構手強かったわ、全く…
…花達…完璧に綺麗に…はぁ
あの子、殺っちゃって」

さっきとは比べ物にならないスピードに+
見えなくなって此方に向かってくる

うわぁまだそんな力残っていたんだな…
幻術もさっきより格段とレベルが上がってる
これは視覚を閉じて聴覚を研ぎ澄ました方が
良いですね

目を閉じ耳を研ぎ澄ます

ーーーーーシュシューーーー

聞こえた……

刀を握り、
「四季桜、冬桜発動!!!!」

冷気を纏わせ、来る食人花達を凍らせる
右、右下、左上、斜め左下、真上、

ーーーーピキキキ……ガシャッン

私の周りに凍った食人花達が落ちていく
目を開けると以外に結構な数があった
凍ってしまっているので動くこともないのだが、
なんと言うか少々不気味な状態だ

「っく〜〜〜ぅ、!!
私の可愛い花達を凍らせてしまうなんてぇっ!」

ああ、また怒りだした
カリシウム足りてないのかな?

「そろそろ決着着けちゃいましょうかね、
苛立ちでお姉さんフケてきちゃいそうですし…」
うん、怒りで眉が真ん中によってシワが
増えてしまってきてるしね
それは、ナルな雉さんは嫌だろうしね

「なっ、なんですってぇ〜!!!!
私がフケているだなんて…よくも…
よくもそんなことを〜!
許さねぇ、お前は綺麗な死体じゃなく
無惨な死体にしてやるぅ!!!」

??、なんかしゃべり方と言い変わってません?
しかもなんで、そんなに怒ったんでしょうか?
私もしかして余計なこと言っちゃった?

雉さん匣をだして、指にはめているリングに炎を灯し匣の穴にはめた
すると中から羽衣のようなのが出てきた
その羽衣を自身に纏いそして、歌いだした

「っ!!何この歌!?あ、頭が痛い!!」

頭を押さえながら、膝を付く
余りの痛さに吐き気までしてきそうだ
向こうで歌いながら、此方に向かってくる雉さんを感じる

……この声止めないと、

その思いで体を立たせ、刀を強く両手で握り
向かってくる雉さんに私も向かっていく
そして斬りかかる…が、不安定な私の攻撃は
避けられてしまった

「残念ね、今の貴女じゃ私にかすり傷ひとつ
つけられないわよ」

「いいえ…別に貴女に向けたわけじゃないです」

「?」

「斬ったのは………その羽衣」

「!!!」

そう、今の私は雉さんを倒すほどの力を
雉さんが歌っている歌のせいで皆無だ
でも、それならその歌の根源を潰せばいいと
羽衣を切り刻んだ

唖然とお尻を地面についた雉さんに刀の刃を向ける

「降参ですよね」

笑顔でそう聞いた
かなりの歪んだ表情の雉さん
多分悔しいのだろうな
あんまり、負けたこと無さそうだし……

と、そのとき
「っっ!!!!」カシャンッッ!!

苦しい胸の痛み、持っていた刀を地面へと落としてしまい私自身も膝から崩れ落ちた
はぁはぁと胸を押さえながら必死に押さえようとするこれは、力の継承の為の痛み
……力に認めてもらう為の痛み

なんでこんなときに、っく最悪だ
まだ、戦いは終わってないのにっ!!

「?何が何だか分からないけど、
持病でも持っていたのかしら?
……ウフフフフ、まぁ、これで形勢逆転ね!!」

今まで座っていた雉さんは私の異変に喜び
立ち上がって膝をついて苦しんでる私に蹴りを喰らわした

「っう!!」

蹴りの威力は女性がしたとは思えないほど半端なく
結構な距離を飛ばされた
もう少し威力がすごかったらここは屋上ので私は
空中に投げ出されただろう
今は受け身をとることもできないと言うのに
そんなことになったら確実に死んでしまう

なおも地面に横たわり動けないでいる私に
雉さんは近づいてきて蹴りを繰り返した

声も出ないほどに痛く、気を失ってしまいそうになるのを身体中の痛みで何とかそれは免れた
こんな状況で気絶なんで出来るわけがない

そろそろ疲れたのか飽きたのか、雉さんは私から一旦離れ私が落としてしまった武器、四季桜がある場所まで向かった

そして、四季桜を広い笑顔で此方をむいた



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