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…prolog。



「ケーンジ。」


連休で戻ってきている兄は、ことある事にちょっかいを出してきて、困る。


「うるさい。」
「触んな。」
「あっち行けよ。」


近づく度にうるさく脈打つ心臓が嫌で、バッサリと切り捨て続けると、
その度に酷く悲しそうな顔をするコウジに胸の奥がチクリと痛んだ。


…だってしょうがないじゃん。
変な気持ちになるんだから。



もうお兄ちゃんなんて言えそうになくて、この気持ちを…認める事にした。



俺は、コウジが…。












ジリジリと、夏の日差しが地面を揺らした。


初めての土地で地図を片手に迷っていた俺は、やっと目的地を見つけ、ホッと息を吐いて。


左肩から下げた大きな荷物を床に置くと、ポケットに地図をしまい込んでチャイムに手を伸ばしたんだ。






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