[携帯モード] [URL送信]
…16。
------------





いつの間に眠ってしまったんだろう。

母さんからの電話で目を覚ましたのは、既に日も高く昇った正午過ぎだった。



「………ぁい…」

『何その声?まだ寝てたの?』


明け方に寝た事と昨日からの疲れから、なかなか覚めない頭を振りぼんやりとそう声を出すと、出し過ぎて掠れていた声に母さんは呆れながら溜め息を吐いた。



『…まったく、』

「だらしがないわね」と呟く母に苦笑いして、けど次の瞬間、電話の向こうで母さんが押し黙るのがわかった。



「…母さん?」



どこか重苦しく感じる空気に胸の中がざわりと震える。

後ろめたい事がある所為で、言いようのない不安に名前を呼ぶと、聞こえてきたのは受話器越しの小さな息。



『…今から、』
「?」

『今から車で迎えに行くから。…準備して待ってるようにケンジに伝えておいて。』



言われた言葉は大した事ないものなのに、放たれた雰囲気はやはり重い。


「…………わかっ…た…」



つい言葉に詰まりながら何とか答えると、ホッと安堵の息が届くと、


「…母さん?」

『ううん。なんでもないの。
…ごめんね。ありがとね。』


突然言われた御礼と謝罪に、気が付けは口を開いてた。



「あのさ、」


…俺は、何を言うつもり何だろう。


早くなった鼓動が耳の中に響く。
ドクドクと脈打って、緊張で指先が痺れていくのがわかった。





[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!