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…18。




「あ、…おはよ?」
「んー。」


くわっ、と豪快な欠伸をしてから、まだ少し眠いのかしきりに目蓋を擦るケンジに微笑むと、視線に気付いたケンジは頭をひと掻きしたあと立ち上がって伸びをした。


「んーっ、何?電話ぁ?」

「ああ、…うん、母さんから…」


俺の言葉に一瞬固まったケンジは、僅かに眉を顰めてから少しトーンの下がった声を出して。


「なんて、言ってた?」

「うん、…迎えに来るって。」
「…そう…」



少しだけ眉を下げて残念そうな顔に苦笑いすると、「しゃーないだろ」と髪を撫でた。




本当、
仕方ない事。

勿論、ちゃんとケンジもわかってる。


それでも、離れたくないと思ってしまうのも仕方のない事で、あと数時間後にある“別れ”に胸の奥がキュッと苦しくなった。




「ほら、起きて。顔洗って来いよ。」



寂しさを気取られないように必死で優しい声色を作ると、支度をすべくケンジを洗面所へ追いやった。



本当は、キツくその身を掻き抱いて、帰らないでと縋りたい。
少しでも離れたくないなんて、子供みたいな激情が渦巻いてる。


じんわりと滲んでいく涙を堪えながら、大きく深呼吸を繰り返して、あと数時間後には、一人になったこの部屋で大声で泣いてしまうんだろうな、と唇を噛み締めたんだ。








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