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…19end。




夢の中で俺は、
何かに恐怖して、叫びながらもがき苦しむ。
助けを求めたくても声が出なくて。


『…たすけて…』


声を上げ、泣いて泣いてそれでも逃げられないんだ。



苦々しい気持ちで唇を噛むと、べったりと付いた気持ち悪い感触に吐き気を催す。


「…ぐっ、」


いつの間にか額に滲む脂汗と、喉元まで出掛かったモノを必死に追いやると、大きく息を吐きながら呼吸を整えた。




夢を見始めてから、起きた後に必ず残る嫌悪感と吐き気。
俺はそれをずっと考えないように、心の奥の方へ追いやって束の間の安息を得る。


本当は、気付いていた。
これこそが原因なんだって。

考えないようにするのは簡単だ。心が拒否してるから。


でも、
「このままじゃ、駄目なんだ…。」



アオイに「壊れる」って言われた時、本当は凄く怖くなった。
けど、着々と迫ってくる黒い影が、このままなら結果は同じだと俺に教えてくる。




…逃げらんないなら、立ち向かうしかないだろ?


訳の分からない影に怯えるくらいなら、いっそ自ら飛び込んだ方がいい。

決意を固めながら唇を噛むと、窓の外の向こう側をキツく睨み付けると、立ち上がってケンジに近付いた。

どんな夢を見ているのか、スースーと寝息を立てながらも眉間にシワを寄せる姿に微笑んで、


「…ごめんな。」



その髪を優しく、そっと梳いたんだ。




…continue?→#


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