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…16。




脱力感と共に大きな溜め息を吐いて、ケンジの顔を無理矢理こっちに向かせた。


「大丈夫か?気持ち悪くとかなってない?」


ほんのりと赤みがさして見える頬に眉をひそめて、ペタペタと他に変わった所は無いかと顔に触れた。



「出たよ、コウジのブラコン。」

その行動をケタケタと笑う酔っ払いに睨みを効かせて「うるさい」と一喝すると、守るように抱き込んだ。



「うちは両親共、酒に弱いんだよ。遺伝的に考えて、ケンジが強いわけないだろ?」

「マジか!コウジは強い方じゃん。」

「……」



だから、つまり“そういう事”なんだ、とさっきの話をすっかり忘れているらしいヨシキに呆れたが、
俺が強いのはもう一つの遺伝だ、とわざわざ言ってやるつもりもない。

ぶっちゃけこれ以上余計な事を言って欲しくないし。


とにかく悪ふざけの過ぎる悪友に、これ以上ケンジを近付けさせまいと腕に力を込めると、胸のあたりでモゾモゾと動く感覚で『ケンジを抱き締めてる』と今更ながら、やっと自覚してしまった。


「ぁ、ごめ…」


…何やってんだよ、


腕を緩め、万歳のポーズにすると、一瞬離れた胸はまたすぐケンジの頭にくっ付いて…。


「!?」


ぽて。と効果音が付きそうな雰囲気で胸元に寄せられた頭に、一気に心音が早まるのを感じた。





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