…14。
「大丈夫?」
「駄目…!マジ、ヨシキさん飲ませ過ぎだから!」
便器に顔突っ込んだまま寝るんだぜ?
と、当たり前だが酔っ払いの世話なんて初経験のらしいケンジは、床に転がしたカイリを見て大袈裟に溜め息を漏らしている。
慣れない事によほど疲れたのだろう。
グッタリとうなだれながら愚痴を零すケンジに微笑むと、タイミングよく顔を上げたケンジと視線が絡んだ。
「……。」
「……。」
…そういえば、さっきの事なんのフォローもしてないじゃん。
あれは絶対、キスだったよな。
未遂にしろ仕掛けた自分は、いつケンジに問われても仕方ない。
『さっきの何?』
なんて聞かれたら、なんて言えばいいんだろう。
『触りたくなった』
なんてどこの変態だよ。
途端に恥ずかしくなって顔を赤くすると、それに気付いたケンジもどこか照れているように見えるのは気のせい?
ゆらゆらと視線をずらしながら気まずい雰囲気を味わって、それでも取り繕うと口を開くと、
「中坊かよ!」
俺の頭にチョップを食らわせたヨシキが、わざわざ真ん中に腰を下ろしてきた。
「お疲れさん。まあ、飲めよ。」
さっきまで鼻を啜って泣いていた奴はどこに行ったのか。
気を使ってるんだか、邪魔をしてるんだかわからない行動に苦笑いした。
…いや、助かったけどさ。
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