[携帯モード] [URL送信]
12…。




「………えっと、…なに?」


聞いたのは、伸ばした手を掴まれたから。

いきなり腕を掴まれて、犯人である母さんに視線を向けると、


「ちょっと話があるんだけど。」

いつにない真剣な表情に嫌な予感しかしなかった。
母さんがこういう顔で話をする時は、決まって都合の悪い事が起きる。
今までの経験からしてほぼ確実だ。


「今?」
「今。」

「ここで?」
「…確か外に喫茶店にあったわよね。」


引っ張られながら外に出る俺はの気分は、さながら処刑台の死刑囚。
多分、間違っていないと思う。
どんな刑が執行されるのかはわからないけど。






「ホット。ケンジは?」
「…コーラで。」

喫茶店に入り向かい合って座ると、前に倣って注文を済ませた。


それなりに賑わっている店内は、嫌みじゃない程度の音量で音楽が流れ、それにそれぞれの話し声が混ざり合い、不思議と安らぐような雰囲気を醸し出していた。
まあただ単に、静かなでもうるさすぎても、目の前の無言の重圧が更にきつく感じられるからなんだけど。



「…ケンジ。」

母さんが口を開いたのは、柔らかな湯気をたたせるホットコーヒーと冷えたコーラがテーブルに乗せられてからだ。


「…なに?」
「前にあなた、言ったわよね?あなたのその、…性癖について、って、やだ汚いじゃない!」


ぶふっ、と音を立てて、飲んでいたコーラを噴き出すと、母さんはコーラが服にかかった事を抗議している。
俺としてはそれよりも、涙目で噎せる息子の心配をして欲しい。





[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!