…15。
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「…俺が、ケンジと…」
付き合ってた?
にわかに信じられないけど、何故かどこかで納得している自分がいる。
ヨシキの話だと、事故にあったと聞いた日、ケンジが訪ねてきたらしい。
そのまま夏の間一緒に住む事になった俺達は、いつからかはわからないが、恋人と呼ばれる関係になったそうだ。
「…でも、俺達、兄弟…」
そこまで言って唇を噛んだ。
そう、俺達は兄弟だ。
半分しか血が繋がってなくても、兄弟…。
でも、聞いた時から激しく脈打つ心臓が、全身にケンジが好きだと伝達していくみたいだった。
「…んで、弟が盲腸で入院して、…俺がお前に告って振られた。」
ぶっきらぼうにそう言うと、不機嫌な顔で「なんでまた言わせんだ…」と呟いている。
「俺は、お前が好きだけど、もう諦めるって決めたんだ。
だから、俺とお前はダチ。ずっとな、わかったか。」
遠回しだけど、気にするなと告げるヨシキを見上げると、
「間抜けな顔してんじゃねぇよ」と鼻をつままれた。
「痛っ、離せよ。形がいい鼻が潰れるだろ?」
「はっ、不細工な鼻を直してやってんだよ。」
見慣れた笑顔を向けられてホッと息を吐いたが、
「はは……」
口から出た乾いた笑いに唇を噛んで目をふせた。
「……ケンジはさ、」
「あ?」
「ケンジはなかった事にしたいのかな…?」
覚えていない俺に言わなかったのは、そういう事なんじゃないか?
「……。」
何も言わないヨシキは、眉を顰めるだけで、なんの答えもくれなかった。
「それとも、覚えてないのは、」
…俺が、忘れたかったから、なんだろうか。
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