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…7。




「ふざけんな!教えろ!…なんで…、っ、隠したりするんだよ…、っ、……苦しいんだ、…絶対何か忘れてる……大事ななんか……っ」


決壊した涙にしゃっくりが止まらない。
子供みたいに泣くなんて、格好悪い。


「……」
「……」


辛そうな顔を向ける二人を見つめるとヨシキの口がゆっくり開いた。


「…お前は」
「ヨシキさんと恋人同士だったんだよ。」


………は?


言ったのはケンジだ。



一瞬だけ辛そうな表情を見せたケンジは、すぐに拗ねた顔をして、

「「はぁ?」」

タイミングバッチリでヨシキと声を被せてしまった。


「だーかーら!事故る直前にヨシキさんと兄貴は恋人同士になったの!」

「……いやいや無いから。」


溢れてた涙を引っ込めて、つい冷静にツッコんでしまった。


「嘘じゃないよ。兄貴から直接電話で聞いたもん。」

「………嘘だろ?」


…俺が、ヨシキと?
ヨシキは確かにいい奴だ。
けどそこにあるのは友情で、恋愛感情じゃない。


「嘘じゃねぇよ。キスだってしたらしいし?」


…キ、キス!?


途端に顔を赤くしてヨシキを見ると、一瞬合った目をすぐに逸らされた。
背けた顔はほんのり赤くて、バツの悪そうな表情は、それだけで「キス」が事実だと告げていた。


「んで俺が、記憶がないのをいい事に二人を別れさせようと企んでたんだけど……」


ふっ、と顔を曇らせて目を伏せたケンジは、
「失敗しちゃったな。」
と苦笑いした。






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あきゅろす。
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