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…5。




だから、これはチャンスだと思った。




「ヤッホー。元気?」

「アオイ!カイリにヨシキも!」


病室のベッドで退屈な時間を過ごしていた俺は、突然の訪問者に嬉しい声を上げた。

ひらひらと片手を揺らして入ってきたアオイとカイリ。
その後ろにヨシキの仏頂面を見つけて微笑むと、


「どうしたの?お見舞いとか、らしく無さ過ぎてウケるんだけど。」


本当はめちゃくちゃ嬉しいくせにそういうと、
「んじゃ、帰るかぁ〜。」
なんて引き返そうとするアオイを
「冗談だよ!」
と慌てて引き止める。




「あ、ケンジ紹介するな!大学の友達のアオイとカイリとヨシキ!」

入ってきた順に名前を言うと、ちょっと間を置いてから、


「……弟の、ケンジです。はじめまして。」

ぺこりと頭を下げたケンジにヨシキが苦い顔をした。


「?」




「初めまして。ホンドウアオイです、よろしく。」

「初めまして?ヤマモトカイリです…って、初めましてっ!?っ、痛ぁ…」


首を捻りながら二度も初めましてを繰り返したカイリの頭をヨシキが殴り、

「…ヨシキ。」


名前だけ言ってそっぽを向いたヨシキは、やっぱり仏頂面で機嫌が悪そうだ。



「これお見舞いね。」


渡された見舞いの定番、果物籠を受け取って「ありがとう」と言うと、安心したように息を吐いたみんなに眉を下げる。


「…本当、わざわざありがとうな。…けど、よくココがわかったな。」



俺の入院している病院は実家の近くだ。
大学のあるのは隣の県で、結構遠いしなんでわかったんだろ?




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あきゅろす。
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