1…。
あれから、一週間が過ぎた。
「コウジ。具合どう?」
病室のドアを開けて、真っ白いベッドに寝そべるコウジに声を掛けると、
「…ケンジ。“コウジ”じゃなくて“お兄ちゃん”だろ?」
と呆れたような声を出すコウジに苦笑いした。
コウジが目を覚ましたのは事件から3日後だった。
薬も抜け背中の破片も取り除き、頭だって検査の結果異常は見つからなかったが、3日もの間昏睡し続けたのは精神的なものだろうと医者が言っていた。
やっと目が開いてコウジが俺を見つめた時、本当に嬉しかったんだ。
もしかしたらこのまま…なんて嫌な考えしか思い浮かばなかった俺には、たった3日が悠久に感じられたから。
「…ケン、ジ…?」
だから、ぼんやりと名前を呼ばれその嬉しさに溢れる涙が、その後の言葉に凍りつくなんて想像もしていなかった。
「…なんで、ここに?つーか、ここどこ?」
何もかもわからないと首を傾げて、なんで自分が怪我をしているのかと尋ねてくるコウジの記憶は、丁度夏休みのあの日、俺がコウジを訪ねるその日まで後退していた。
「はぁ?…事故?」
その日は丁度初七日で、両親は家に居なければならなかった。
だから、目覚めた時は俺ひとりで、ついそんな事を口走ってしまったのがいけなかったのかもしれない。
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