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15…。




「っ、」


ジッと見つめられ動揺を隠せない叔母が視線を逸らし、それを阻止するように顎を持って、


「ケンジ!いい加減に…」
「コウジはどこ?知ってるんだろ?」


止めようとした母さんの声を被せるように遮った。


「な…んの事…?」


こんなわかりやすい動揺で隠せると本当に思っているのだろうか。

勿論、両親だってそれに気付かないわけがなくて、
まさかという顔で叔母の顔を凝視していた。


「…何したの?携帯が繋がらないなんて異常だよ。
拉致?監禁?どっちも立派な犯罪、だよね?」


鋭い目で睨み付けられ、犯罪の言葉が決め手になったのか顔を歪めた。


「…義弟に、脅されて…」





叔母の家は小さな会社を経営していた。
けど、不況で経営困難に陥り多額の借金を抱えて倒産したらしい。

そこを救ってくれたのが、叔母の夫の弟で、快く借金を無利子で肩代わりしてくれたそうだ。

そこまでは、何とも優しい話だ。


でも、うまい話には裏がある。

葬儀に来たおじが突然、金を返せと迫ってきたらしい。

当たり前だがそんな金があるわけもなく途方に暮れていると、悪魔の囁きがした。

『コウジくんをちょっと貸してくれないかな?』


話がしたいだけだと。
二時間もしたら返すと。
そうしたら、今まで通り借金は無利子で貸し付けると。


酔ったおじを送っていくという作戦は成功したが、約束の二時間が過ぎても戻って来ないコウジにどうしていいかわからず怯えていたらしい。






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あきゅろす。
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