11…end。
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カチャ、ジャー…。
きゅっ。
蛇口を閉じると濡れた手を拭いた。
カレーの付いた皿を洗い終え、後ろでいびきをかきながら眠るコウジを振り返って、
「ふぅ…」
もれた息は呆れてるからじゃない。
酔っ払いの所為でまた散らかった空き缶はもう片付け終わったし、余った料理もちゃんとしまった。
…本当、あっちでなら絶対やってないよ。
俺の知ってたコウジは、もっと綺麗好きで、俺の為に料理だってしてたし、
…チャーハンとか焼きそばとかだけど。
なんかもっと立派な“お兄ちゃん”だった。
「まったく、こんなに呑まなくても…。」
ましてや、アルコールで酔っ払ったり、煙草なんかも吸わなかった。
…まあ、おかげでなんとか理性は取り戻せたんだけど。
隣に座ると、コウジの髪を優しく撫でた。
…じゃないと、あのまま襲っちゃうところだったよ。
「ねぇ。」
深い眠りで聞こえないのはわかってる。
「コウジ。」
…あわよくば聞いてて欲しいとも。
「…好きだよ。
これから、俺なしじゃいらんないようにしてやるから。」
確かな決意を持って、コウジの耳元に囁いた。
「覚悟しててね。」
「ん…。」
返事とも取れる寝言に微笑むと、その頬に優しく口付けた。
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