…5。
「ただいまー!」
久しぶりの所為かテンションの高いケンジに、玄関のドアを閉めながら微笑んだ。
「おかえり…んっ、」
「…ただいま。」
閉まると同時に口付けられ、すぐに離れた唇が今度は「おかえり」と囁いて、
「……ただいま。」
まだ数pしか距離のない唇が、放つ吐息が唇を撫でていく。
「…ンっ」
そのまま抱き合って、深く浅く重なりあって。
「ハぁ…」
長い長い口付けは息をもらして離れていった。
「…コウジ、なんで泣いてんの?。」
「え…?」
自分が泣いてる事に気付いたのは、ケンジに頬を撫でられてからだ。
「泣くくらい寂しかった?…それともキス、嫌だった?」
小さく首を振って見たケンジは、少し寂しそうに眉を下げてて。
「じゃあ、バレた事悩んでる?」
「!!」
強張った身体をそっと抱き寄せられ、「ごめん」と耳元で囁かれる。
「ヨシキさんに謝られちゃった。」
「っ」
「コウジがいない時にヨシキさんが来て…、無理矢理キスして告ったって。」
「……。」
ヨシキは、口が悪くて短気だけど、男気のあるいい奴だ。
たぶん、俺の事を思って会いに行ったんだろう。
「悩ませた?俺ってそんなに心狭そう?」
「違っ」
「それとも、弟はやっぱり嫌?ヨシキさんが気になっちゃった?」
違う違うと首を振って、泣きながらケンジにしがみついた。
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