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…1。
『初…と苦いキス』





「お世話になりました。」
「お大事に。」



一週間ほどの入院も終わってしまえばあっという間で、すぐに日常生活に戻れるというから医療って凄いんだな、なんてちょっと感心してしまう。


「あーあ。終わっちゃった。」

会計を済ませ、エントランスを抜けながらどこか残念そうな声を上げたケンジを見ると、


「入院中って暇だったけど、ずっとコウジが居てくれて嬉しかったのに。」
「っ、」


悪びれる事なく耳元で囁かれ、顔を赤くなるのは仕方ない事だ。


「でも、さすがに六人部屋じゃなんにも出来ないから、家の方がいいかも。」

…よく言うよ。


個室だったのは当日だけで、翌日から病室を移されたケンジは、

…他の患者が居たって気にしなかったじゃないか。


目隠しにカーテンを引いては触ってきて、本当にひやひやさせられたんだけど。


「病室って色々もえるシチュエーションだったけど、キスしか出来ないんだもんなー。」


…うんと濃厚なヤツだけどな。


「真っ赤な顔で慌てるコウジ、可愛かったなー。」

…当たり前だ!だって、あれはないだろう。






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あきゅろす。
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