『佐藤くんと鈴木くん』 …8。end 「…へっくしゅん!」 盛大なくしゃみと共に鼻水まで垂らしそうな鈴木は、砂浜でパチパチと音を鳴らす焚き火の前で両手を摺り合わせた。 …寒い。 当たり前だ。 寒中水泳をしにきたわけじゃない。 「見てー!湯気出てる。」 「本当…くちゅんっ」 「かっわいいー!!」 『本当だな』と答えるつもりだったのに、なんでくしゃみなんか出るんだ? …しかも、可愛いって笑われるし。 服は海水を含んでバリバリだし、気合い出してセットした筈の髪は、ボサボサのジャリジャリだ。 「……」 「ごめん、怒った?」 黙った所為で、怒らせたと思ったようだ。 「…別に。怒ってねぇよ。」 べとべとでジャリジャリの頭を撫でると、 「へへ。」 嬉しそうに笑った顔は、今日一番の笑顔だった。 end。 2009/11/12 *緒神 [*前へ] [戻る] |