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『ショート寸前』



ちゅっ。

「!」


唇が優しく触れるだけの、
そんなキスをしてきたのは、予想外にお前からだった。


「なんだよ…。」

目が点のまま固まってしまった俺に不満そうにそう言うと、真っ赤な顔で俯いた事でやっと我に返った。

「なっ!、あっ!」
「…ごめん、もうしないよ。」

焦り過ぎた態度があらぬ誤解を生んだようだ。

傷付いた顔でそう言ったお前を、もう無我夢中で引き寄せて、

「わりっ!…違うんだ…」

うろたえている俺はだいぶ格好悪いだろう。


「嬉し、かった…」

恥ずかし過ぎて真っ赤になりながら、そんな顔を見られないように更にキツく抱き締めると

きゅ。

応えるように背中に手を回してくる仕草にノックアウト寸前だ。


「ちょっと、待て!」

ヤバい位に早くなる動悸に離れると、首を傾げて眉を下げて、ただこっちを見る仕草まで俺には愛しすぎて…


「…つーか、これ以上は、無理。」

本当、マジで。


「なんで?」

そう呟いた口がゆっくり近づいて来て、
トスン、
後退りした俺は、ソファーに躓き着地した。


「逃げないで。」


逃げたい訳じゃない。
本当はこの瞬間を心待ちにしていたんだ。


「…マジで、止まんなくなる…」


シャツの襟元から覗く鎖骨と、男のクセにヤケに色っぽい唇が全力で俺を誘っていて、

「い
 い
 よ
 ?」

一音一音、
丁寧で綺麗に紡ぐ唇が、吐く息ですら自分のものにしたくなったんだ。



「止まんねぇ…」

獣みたいにシャツを弄り聞いた俺の耳に、

「うん…」

微かなお前の声がした。



end。戻・0 

2009/2/27 *緒神


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あきゅろす。
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