絶対可憐な版権小説
『sweet』
「…お前、何を持っている?」
信じられないようなモノを見る目でそう問いかけると、白い物体を口から出した葉が
「真木さんも食べる?」
と言った。
…ソレを?
葉の口から出ているのは言わずと知れた千歳飴。
11月15日
七五三によく子供が持っているアレだ。
「いや、そういう事じゃなくて…」
「別にいいじゃん。何で持ってるかなんて。」
質問の意味をしっかり理解していた故の葉の言葉に苦笑いして、
「意外に美味いよ?」
と更に食べ続ける葉の口から千歳飴を奪ってやった。
「!?」
何故取られたか分からない顔をして俺を見る葉から視線を外すと、適当な答えを探した。
「…食べ過ぎだ。」
本当は、そんな事どうだっていい。
いつまでも葉の唇を独占している飴に嫉妬したから。
…なんて言ったら葉の事だ。
ニヤニヤと笑みを浮かべてからかうに決まっている。
俺の言葉に少し驚いた後、途端に目を細めて笑い返してきた葉は、言われなくても全てを見透かされてしまったようだ。
「ふーん…」
ゆっくりと俺の顔を覗き込み、息がかかるぐらいまで近付けた後
「…そうだね。こっちの方が美味しそ…」
嬉しそうに重ねてくる唇を何度も何度も味わった。
「……真木さん…」
微かにもれる息に混じって呼ばれた名前に応えるように背中に回した手から、千歳飴がこぼれて堕ちた。
end。
2008/11/15
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