『蒼く続く空…』
…21。
「私達、あの子の事全然知らなかった…。
学校のことも、友達のことも…」
ノートを持つ手が震えていた。
「あの子、…好きなひとがいたみたい
なんだけど、知ってる?」
「……はい」
きっと、日記には俺のことが書かれていたのだろう。
どんな罵声を浴びせられるだろう。
…どんな言葉も受け止めるつもりだ。
唇を噛み締めると、その時を待った。
「…その子に、伝えてくれるかしら…?」
目頭が濡れている。
「あの子は、…最期に告白出来て満足だって…。ふられちゃったみたいだけどね。」
止められないのだろう。
涙が頬をつたっていた。
おどけたように笑っていたが、強がっている様にしか見えなかった。
「あの子が死んだ原因は私達にあるのよ…。
でも、もしあの子が死んだ事を知ってしまったら、
…自分の所為だと思ってしまうかも知れない。」
差し出されたノートを、俺は震える手でノートを受け取った。
「名前が書いてなかったから、私達は伝えることも出来ないけど…。」
ゆっくりとノートを開いた…。
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