『蒼く続く空…』
…3。
…苛々が治まらない。
昨日の事を思い出して舌打ちをした。
だらだらと教室に続く廊下を歩きながらも、アイツの顔がちらついて離れない。
…泣いてたよな。
結局、昨日の事は誰にも言えず終いだった。
何だか言ってはいけない様な、そんな気がしていた。
…多分同じぐらいの年だよな。同級生かもしれない。
周りを見回したが、それらしい姿は見付けられない。
ハァ
すでに今日、何度目かの溜め息をついた。
昨日はあまり眠れなかった。
もう、授業中に体力回復をはかるしかない。
気怠そうに教室に入ると、予想外にアイツの姿を窓辺に見つけた。
!?
同じクラス?
…盲点だった。
今まで気付かなかった自分に驚いた。
クラス替えがあってから三ヵ月が経っている。
幾ら他人に興味がない俺でも、顔も名前も覚えていなかったのは奇跡だ。
席に着くと、
「オッスー」
山田が声をかけてきた。
「聴いてよ!昨日ナンパした娘がさ…」
「なぁ、」
女の話とか今は興味ない。
話を遮ると、周りには気付かれない様に尋ねてみた。
「…アイツの名前何だっけ?」
山田は呆れ顔で、
「何、お前。まだクラスメイトの名前も覚えてないわけ?」
自分でもそう思う。
「山本だよ。俺の後ろの席。
まぁ、目立たないヤツではあるけどね。」
そう言うと、もう興味を無くした様でさっきの続きを話始めた。
…山本、ね…
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