『蒼く続く空…』
…8。
二週間近く経った。
明日から夏休みという日の夜、
俺はアイツに呼び出された。
「どうしたんだよ。こんなところに呼び出して」
家から10分ぐらいの場所にある、
あまり来た事のない公園だった。
噴水があって、結構綺麗に整備されている。
「…うん。…ちょっと。」
ベンチに座ったまま、
煮え切らない返事のあと黙り込んでしまった。
…見たいテレビがあったんだけど。
溜め息を押し殺し、自販機でコーヒーを二本買うと
「ほら。」
「…ありがとう」
缶を取った手が震えていた。
…?
違和感を感じながら、コーヒーを一気に飲み干しゴミ箱へ投げたが、
カンッ
乾いた音がして手前に落ちると転がってしまった。
…めんどくさいな。
アイツは缶を掌で転がしながら、まだ俯いたままだ。
ハァ
深い溜め息を吐くと肩が大きく揺れた。
「ごめん!…やっぱり何でもない。」
は?
何でもない?
こんな所に呼び出しておいて“何でもない”は無いだろう。
「いいから言えよ。」
苛々する。
「……。」
また黙ってしまった。
何なんだ?
とりあえず、ゴミ箱に入らなかった空き缶を拾うと、
微かな声が聞こえた。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!