『蒼く続く空…』
…5。
その日から、ソイツが目に付いて仕方が無かった。
見たところ友達らしい友達はいない。
いつも一人で本を読んでいたが、カバーで題名までは分からなかった。
声は、
あれ以来聞いていない。
…なんで俺があんなヤツを気にしなくちゃいけないんだ。
相変わらず苛々は治まらなかった…。
暫くすると、視線が度々合う事に気が付いた。
?
俺を見ている?
移動教室も、体育の時も
気が付くと俺を見ている。
もしかしたら、今までずっとそうだったのかもしれない…。
怖かった。
一度気になり始めるともうたまらない。
数日が過ぎた頃
…もう、嫌だ。
「ちょっと来いよ」
席を立つと腕を掴み連れ出した。
『なんだ?』
『おい!授業はじまるぞ』
『どうした?』
周りが色々言っているが関係ない。
もう限界だった。
一気に階段を駆け上がると屋上のフェンスに叩き付けた。
さっきチャイムが鳴ったから暫くここに誰かが来ることはない筈だ。
きっちり差しで話を着けてやろうじゃないか。
「…何なんだよ。お前。」
体力がないのだろう。
アイツは肩で息をしながら俯いたままだ。
「言いたい事があれば言えばいいだろ!ムカつくんだよ!!」
そこまで言うとソイツは泣い出してしまった。
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