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『蒼く続く空…』
…epilog。



重過ぎる出来事に立ち直れずにいた俺は、それからの頃の事はあまり覚えていない。

毎日、抜け殻の様だったと
暫くしてからジイさんが言っていた。


大学受験はしなかった。

このままアイツを残していくことができなかった。



高校卒業と同時に旅に出た。このままじゃいけないと思ったから。


“自分探し”と言えば聞こえはいいが、
ここから逃げたかっただけかもしれない。



放浪は一年程続けた。


その間、それなり嫌な事もあったし、死にそうな目にもあった。


その都度
『生きたい』
と思った。


なんで死んでしまったんだろう。

今でも俺には分からない。
でも、
あの時のアイツにはそれしか無かったんだと思う。


アイツの時間はあの時から止まったままだ。


だけど、少なくとも俺が覚えている限りは、アイツは生き続けている気がするんだ。






あれから二年が経った。


旅から帰った俺は
結局、大学生になっていた…。


「山本!」


反射的に振り向いたがアイツのわけが無い。


眼鏡をかけた、ひょろっと背の高い男が歩いている。


こいつが『山本』なのだろう。


…大丈夫だよ。
俺は一生、オマエの事を忘れられない。


どこまでも続く蒼い空を見上げながら。


この空のどこかで
アイツは俺の笑顔を見てくれているだろうか。




end。

2008/4/27 *緒神

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