『蒼く続く空…』
…2。
館内はいい感じに空調が利いていて最高だ。
このまま昼寝でもしようかと思ったが、なんとなく俺はさっきのヤツを探していた。
増築を繰り返している所為で、館内はちょっとした迷路みたいになっている。
そのうち消防とかに指導されるんじゃないか?
まぁ、窓はいっぱいあるから逃げようと思えばどこからでも逃げられるとは思うが…。
おかげで見付けるのに苦労した。
…いた。
ソイツは館内の隅の方に蹲る様な形で座り込んでいる。
…何してるんだろう。
気付かれない様にそっと近付き何とか見えそうな位置まで来ると、ソイツが棚の本を鞄にしまうのが見えた。
!
「おい!」
ビクッと大きく肩を震わせ俺を見たソイツは、
「本堂、蒼生(あおい)…」
目を見開いてフルネームで俺を呼んだ。
やっぱり知り合いの様だ。
…覚えてないけど。
「お前、何やってるんだ?」
顔を強張らせたまま固まっている。
「鞄見せて見ろよ。」
手を掴むとすごい勢いで振り払われた。
「っ!おい!」
突き飛ばす様に俺の脇を走り抜けて行く。
「待てよ!」
一瞬振り向いた顔が…
……泣いていた?
すぐに立ち上がって追いかけたが、捕まらなかった。
手がピリピリする。見ると腕時計が壊れて擦りむいていた。
当たり所が悪かったらしい。
クソ!何だかツイてない。
時計を外して床に叩き付けると、言い様のない苛立ちに頭をかきむしった。
…苛々が、治まりそうにない。
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