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『蒼く続く空…』
…11。



あっと言う間に夏休みが過ぎた。
結局俺は、夏期講習に行ったりの勉強三昧。

アイツとはあれっきり会っていない。

まるで人生の汚点のように、俺はあの時の事を忘れようと必死だった。


夏休みも終わりに近付いた頃。
俺は珍しく風邪をひいた。

もしかしたら、会いたくないという気持ちが体に出たのかもしれない。

治ったのは新学期も二日程過ぎた頃で、ようやく登校した俺は重い足取りで廊下を歩いていた。


…行きたくない。
アイツと顔を合わせたくない。

後々考えてみれば、はじめからそうだったんだ。

…はじめから、そのつもりでそばにいたんだ。


裏切られた様な…
でも、傷付けたのは俺か。


なんとも言えない嫌悪感とどうしようもない後ろめたさが、胸の中を渦巻いていた。
最後にみた顔がはなれない。



ドアの前で立ち止まり一息吐くと、出来るだけ普通の顔を作って教室のドアを開けた。

「蒼生。風邪引いたんだって?」

俺を気が付き話し掛けてくるクラスメートに適当に相槌を打ち、そっと、窓辺にいる筈のアイツに視線を投げた。





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あきゅろす。
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