…66。 …なんで? もやもやした気分のまま、足のはみ出るソファーで寝返りを打った。 教室にも向かわず、そのまま2時限目を秘密基地で向かえた俺は、さっきから同じ問答を繰り返している。 …茶髪の方が好きだった、とか。 そんな理由じゃないもんな。 我ながらそれは無いなと苦笑して、結局最後に思い付くのは… 『戻りたくなかったから』 だがそれも、呆気なく否定した。 …そんなわけないんだから。 勇気と一番連んでいたのは中学の時だった。 正確には、高校に入ってから段々と勇気がよそよそしくなっていったのだ。 あの頃の、 みんなで馬鹿やって みんなで笑いあって 本気で喧嘩して 本気で泣いて… 全部全部全力で、すぐ近くに勇気を感じてたあの頃に 「戻りたいな…。」 前髪が目に刺さり、払うように目を覆った。 視界に入った黒が異様に虚しさを演出して、閉じた目蓋の裏も、結局真っ黒で。 「ムカつくっ…。」 [*前へ][次へ#] [戻る] |