…47。
「…あれからずっと考えてた…。」
「……っ、」
拓己は、嗚咽を堪えながら黙ってその言葉を聞いてて、
「た、拓己の事、好きだよ。
…けど、そういうんじゃないんだ。…ごめんっ!…ごめ…」
言った瞬間、堰を切ったように泣き出して、何度も何度もそう謝る勇気を、
「わかったよ、わかったから…。俺が悪かった、だから泣くなよ…。」
鼻声の拓己がなだめるのを、俺はただ何も出来ずに聞いているだけだ。
──…
チャイムが鳴った。
「…俺っ、正直今は、まだ拓己が怖い…」
「……うん」
「だから、今すぐには無理だけど…、また“幼なじみ”に戻れないかな…?」
言ったのは勇気だ。
「……わかんないよ。」
答えた拓己は、
「でも、ありがとう。」
プレハブ小屋のドアが音を立てた。
…ヤバい!
我に返った俺は、急いで隠れようと焦ったが、うまく足が動かなくて。
ドアが開いた。
「っ!」
「…!」
出てきたのは涙目の拓己で、目があった俺達はお互いに息を飲んで固まってしまった。
…どうしよう。
背中を冷たいもの流れていくのを感じて…、
「あ…」『なんでいるんだ』
拓己の唇がそう動いた。
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