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…34。





勇気を、好きだって気付いたのはいつだろう。

多分、中学に入ってしばらくした頃だった。


小学校とは違って人数も多くなり、クラスだってバラバラで。
部活とか新しい友達とか、毎日少しずつだけど確実に離れていくのが寂しくて寂しくて仕方なかったんだ。


しかも勇気は、誰にだって愛想がいい。


みんなに平等に振りまかれる笑顔が不快で、一時期自分から距離をとった事もあった。

だけど、
『氷吾。』

居心地のいいその横に、いつも俺は戻ってしまうんだ。


どんなにイイ女を抱いていても勇気の事が頭から離れなくて、
それが恋だって気付いた時、秘密にしてずっとそばにいようって心に誓ったんだ。



…本当、馬鹿だよな。


高校は絶対にバラバラになるって思ってたのに、“近いから”って同じ進路を選んだ時は、本当に嬉しくて…。

何度心の中で「好きだ」って繰り返したかわからない。



このままだと思わず気持ちを言っちゃいそうで、なかなか彼女を作らない勇気に自分への予防線の為に彼女を紹介した。


好きなこがいるって知った時は激しくヘコんだし、彼女が出来たら会う時間だって減る事なんか分かってたけど、
それでも譲れない距離だったんだ。



“幼なじみ”と“親友”は。



「一緒に帰ろ」って誘うと絶対に一度は断るのに結局一緒に帰っちゃうところとか、
負けん気が強いところとか…


全部全部大好きだよ。


なのに…、
「居留守とか、本当ヘコむわ…。」



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あきゅろす。
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