…7。 唇を塞がれたまま鼻まで塞がれた俺は、現在呼吸が出来ません。 …え?俺死ぬの? 苦しくてもがくけど全然力が足りなくて、酸素不足から何だか手が痺れてきた気がする。 目と鼻を塞いだ手を掴んで引っ張ったけど外れないし、酸素が欲しくて苦し紛れに開いた口には舌がねじ込まれて口内をなぶられた。 悲劇すぎる…。 「…ん、…ふっ…」 …あ。もう駄目だ。 頭がボーっとしてきた。 どうでもいいけど、キスによる窒息死ってなんて色っぽい死因なんだろう。 実際は苦しいだけで、そんなにいいものじゃないけど。 ただ残念な事に、死ぬならせめて好きな人とが良かったよ。 …美奈ちゃん、とか。 ………………………ん?とか? とかってなんだっ!! 「ぐっ、っはっ、ケホッ、」 グッタリとしたところで唇が離れ、やっと肺に酸素を取り込んだ。 けど、いきなり吸い込んだ所為で溜まった唾液が変なところに入り込んで思いっ切り咳き込む羽目になってしまった。 …苦しい…気持ち悪い…。 なんでこんな目に遭ったのかわからない俺は、咳き込みながら体を丸めた。 視線の端でゆらりと一年生が立ち上がる気配がして、また何かされたらどうしようってビクりと体を強ばらせると、得体の知れない恐怖から自分が涙目になってるのがわかる。 そんな俺を見た一年生は、まるで不愉快とばかりに冷たく見下ろすと床に唾を吐き出して唇を拭った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |