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…21。





「…ちょっと、目にゴミが入っただけです…」



苦し紛れの言い訳に無限は大きな溜め息を吐くと、ポケットからハンカチを取り出して俺の顔を拭きだした。



「っ、大丈…」
「……あのな、」



払おうとした手を持たれ、困惑した俺は、思いのほか真剣な顔の無限にどうすればいいかわからなくなってしまった。

本当、放して欲しい。
これ以上、無限に踏み込んで欲しくない。



「何でもないです。大丈夫です。」

「……あのな、大丈夫で何でもないなら泣かないんだよ。」
「……。」


「男なら、そう簡単に泣いたりしないだろ?」




ジッと顔を見つめられて、気のせいかさっきより近付いてきた唇がゆっくりと動いて。



「言え。言わなきゃ襲う。」
「……」



一つ言ってもいいですか?
なんだその脅し!

さっきまでのちょっとシリアスなムードが一気に吹き飛んだ気がする。


呆れた表情になった俺を見て「嘘じゃねぇよ?」なんてニヤリと笑った無限は、素早く俺の両手を拘束すると、逃げる間もなくあっという間に壁際まで俺を追いやった。



「!?何する…!」

「キスするまで5秒前。」


……は?



「4、3…」
「!?!?」



容赦ないカウントダウンに呆気なく陥落した俺は、仕方がなかったと言い訳したい。
だって、それじゃなくてもそれでヘコんでるのに、更に傷口を広げたくないだろ。
マジでもう一回されるとか止めて欲しい。
本当、切実に!



「2」
「キ、キス!キスされたのっ!」
「1……は?」






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