…2。 「俺がですか!?」 教科主任に呼び出された俺は、突然のお達しに大きな声を上げた。 校内放送で呼び出され、何かしてしまったのかと冷や汗を流しながら行ってみれば、 『テスト問題を作って欲しい』? んなの無謀過ぎるでしょ! そもそも、今回のテストを作る予定だったのは、もう一人の二年生物担当教師のはずだった。 もう一人の担当教師というのは、白髪頭に目の細い、温和だけど怒ると怖いと噂される定年に片足を突っ込んだ五十代後半の男性教師。 『おじいちゃん』の愛称で親しまれてる山田先生だ。 今回は新任初のテストだし、様子見というか、これまでの傾向や流れを充分に勉強させて貰う予定だった。 しかし、初テスト問題作成にワクワクしながら、勉強させてもらう気満々だった俺に降りかかった現実は、まさかの事態。 …本当、まさか新学期そうそう山田先生が風邪をこじらせて入院してしまうなんて…。 入院は十日間の予定。 テスト期間前には退院出来る予定だが、流石に退院後すぐに問題作成に取り掛かるのは大変だろうという学校側の配慮で、急遽俺にお鉢が回ってきたってわけだ。 「…つ、疲れた…」 生物準備室に入るとそのまま椅子に座り込んだ俺は、肩で息を吸いながら額を机に付けた。 山田先生が入院してから、抜けた先生の穴埋めを誰かがするのは自然の流れだ。 授業はもちろんだが、それは大事なテスト問題も一緒。 本来なら、それは信頼できるベテラン教師がやるはずだが、まさかそれらを押しのけて俺が選ばれるなんて誰が予想出来ただろう。 なんと! …俺以外の全ての教師は想定していたらしい。驚きだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |